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日南・ジャカランダと、志布志の麓
MIYAZAKI · NICHINAN → SHIBUSHI · 2026 初夏

日南・ジャカランダと、志布志の麓

紫の花と黒潮の滋味、湧水の城下町へ。

2026.5.22 ▶ 5.24

Days3日間
Dist約360km
Area宮崎・鹿児島
Top最高 195m

五月の宮崎は、花と潮の匂いがする。日南線にことこと揺られて南へ下れば、木造の小さな駅に紫陽花が色づきはじめ、飫肥杉の酒蔵からは湧水があふれていた。お目当ては、南郷の町を薄紫に染めるジャカランダ——世界三大花木のひとつが、ここ日南では初夏の風物詩になっている。

黒潮があがらせるカツオのタタキに舌鼓を打ち、県境を越えて「志布志市志布志町志布志」へ。翌日はシラス台地に刻まれた城跡と、湧水のせせらぐ武家屋敷の麓集落を歩き、曽於の弥五郎どんに見送られて帰路についた。紫の花・黒潮の幸・湧水の城下——南九州の初夏をまるごと味わった三日間の記録。

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DAY 1 · 05.22

福岡から宮崎へ移動し宮崎市泊

旅のはじまりは夜の福岡。南へ向かうバスに揺られ、日付が変わるころ宮崎の街に着いた。宮崎市内のニューウェルシティに荷をほどき、窓を開ければ、昼間の花の匂いはまだ届かないけれど、どこか南国らしい夜のぬくもり。

部屋の灯りを落として、眼下にひろがる宮崎の夜景をしばらく眺める。明日は日南線で南へ下り、紫の花に会いにいく——その胸の高鳴りを抱えたまま、早めに眠りについた。

移動 約0.1km / 獲得標高 26m

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DAY 2 · 05.23

日南線で榎原・南郷へ ジャカランダまつりと志布志泊

朝いちの日南線で、ことこと南へ。宮崎の街は花の匂いがして南国感たっぷりだったのに、ひと駅ごとに畜舎の匂いに変わっていくのもご愛嬌。木造の榎原(よわら)駅で途中下車すると、清閑で花の多い、いい雰囲気の無人駅。ホームへ渡るには古い階段をのぼらなきゃいけない——バリアフリーとは無縁の、こういう駅がたまらない。彫刻の凝った榎原神社にぺこりとお参りし、飫肥杉の井上酒造へ。敷地のなかに湧水があふれ、チョウザメの養殖までしているという。駅に戻って、日向夏の紅茶とふわりと香るレモンケーキでひと休み。

そして本日のお目当て、南郷へ。西武ライオンズのキャンプ地だから、着いた駅はさしずめ「西武南郷」——ジャカランダ咲いとる~!! 道の駅なんごうを薄紫に染める花の大樹に、思わず声が出る。足もとには散った花が紫のじゅうたん。完熟マンゴーは(゚д゚)バリウマカー、トロっと甘いソフトもたまらない。南国の町をめぐったあとは、港の駅めいつでカツオのタタキ——玉ねぎの下に身がたっぷり、むちむちで黒潮の滋味がしみる。

日が傾くころ、しぶしぶ県境を越えて「志布志市志布志町志布志」へ。志布志市志布志町志布志の志布志市役所という、早口言葉のような住所に一人で盛り上がる。夜は志布志湾三昧丼ドンッ!! 名産のしらすと鱧とウニがどんぶりにぎっしり、徳利に入っているのは酒ではなくダシ。ダシがとにかくうまくて、鱧はサクふわ、ウニは磯の香りと苦味がたまらない。

移動 約95.0km / 獲得標高 57m

ジャカランダと日南

ジャカランダは桜・ミモザと並ぶ「世界三大花木」のひとつで、初夏に薄紫(藤色)の花を枝いっぱいに咲かせる南米原産の木。日本では沖縄などごく一部でしか見られず、ここ日南市南郷は本土有数の名所として知られる。日南海岸の温暖な気候が南米の花を育て、五月下旬から六月にかけて「ジャカランダまつり」でにぎわう。道の駅なんごう周辺のほか、山の上には「ジャカランダの森」もあるという。桜のように春を告げるのではなく、梅雨入り前の空に紫をともす——南国・日南ならではの初夏の景色だ。

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DAY 3 · 05.24

志布志麓と志布志城跡、曽於を経て新幹線で帰宅

飲みすぎた頭に朝の雨。志布志港をのぞけば、沖縄や大阪へと海をつなぐフェリーが停まっていた。昔は旅客船が沖縄まで通っていたという港町の記憶を横目に、まずはシラス台地の上へのぼる。台地は広くて日当たりもいいのに、昔の人は水を求めて谷底に町を築いた——その谷へ降りていくと、そこは湧水のせせらぐ麓(ふもと)の集落だった。

島津の殿様に出したという「御前の水」がこんこんとあふれ、武家屋敷の石垣と生け垣が、南国らしくも気品のある佇まいを見せる。湧水には沢蟹——「かわいいやろがに」。そして志布志城跡へ。シラスの大地を削った断崖と空堀はまるで迷路で、彷徨い歩いてなんとか脱出成功(枝でズボンが破けたのはご愛嬌)。谷底の箱庭と港湾都市、ふたつの顔のコントラストが面白い。

お昼は要予約の天ぷら店へ。とり天定食に単品のはも、桜島鶏も野菜もはもも、ぜんぶ鹿児島・志布志産。噛んだ瞬間に素材の風味がふわっと広がって(゚д゚)ウーマーイーゾー。バスを乗り継いで曽於市の弥五郎どんの里へ寄り、330円の温泉で旅の汗を流す。都城から新八代経由の九州新幹線で、南九州の初夏をおなかいっぱい抱えて福岡へ帰った。

移動 約265.4km / 獲得標高 156m

志布志城と麓集落

志布志城は、シラス(火山灰)の台地を深く削った空堀と断崖(切岸)で守られた中世の山城(内城ほか四つの城からなる)。やわらかいシラスは人の手で掘りやすく、天然の要害となった。ふもとの「志布志麓」は、島津氏の外城(とじょう)制度のもとで武士が暮らした城下集落で、湧水と石垣、生け垣にかこまれた武家屋敷が今も残る。台地は広く日当たりもよいのに、昔の人は水の得やすい谷底に町をひらいた——湧水のせせらぎと、港湾都市・志布志のにぎわいとのコントラストが、この土地の歴史を物語っている。