うきは・八女 星野村の茶処と上陽・黒木をめぐる日帰り
うきは駅から、きょうの相棒はペダル。平野の麦畑を横目に山をめざすと、空気はまだひんやり、それでも太陽はもうアッツイ。藤波ダムで貯水率を気にかけ、調音の滝のしぶきに涼をもらう。山に入れば水をはった棚田が広がり、斜面にはもう青々とした茶畑。長いトンネルを抜けた瞬間、星野村の段々の景色がどーんと開けて、思わずスゴーイと声がもれた。
抹茶にする茶畑は、黒い覆いをかけて日を遮るのだとか——見わたすかぎり真っ黒な茶園が、八女茶の本気を物語る。緑のトンネルを抜けて茶の文化館へ。やさしく香るお茶で一服し、ほんのり緑を帯びた茶そば、濃厚な抹茶プリンに舌鼓を打つ。おみやの八女茶も、忘れずにしっかり仕込んだ。
山を降りて上陽へ。清らかな川ぞいの道をたどると、このあたりは名高い石橋の町で、アーチの石橋がいくつも架かっている(タイヤの「ブリヂストン」も、創業者の姓「石橋」が名の由来だとか)。上陽ゆかりの日系移民でアメリカ上院議員になったダニエル・イノウエをまつる展示室をのぞき、外国人に人気というわりに人影のない八女福島の古い町並みをぬけて、廃線・黒木線の跡を自転車で走って帰った。
八女茶と玉露
福岡県南部、八女の山あいでつくられる八女茶は、日本有数の高級玉露の産地として知られる。玉露は、新芽が育つころに茶園へ黒い覆い(寒冷紗など)をかけて日光を遮り、うまみ成分のテアニンをたっぷり残して育てる——このひと手間が、とろりと甘い独特の味を生む。星野村は八女茶のなかでも銘茶の里とされ、茶畑と棚田が折り重なる景観がうつくしい。近年は海外の抹茶ブームを受けて、抹茶向けの生産が増えているという。玉露は熱湯を避け、ぬるめの湯でじっくり淹れるのが流儀だ。