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北九州 くろがね紀行
KITAKYUSHU CYCLING · 2026 早春

北九州 くろがね紀行

鋳物の茶釜から、製鉄のまちへ。折りたたみ自転車で走る二日間。

2026.3.14 ▶ 3.15

Days2日間
Dist約111km
Area福岡・北九州
Top最高 118m

早春の北九州へ。折りたたみ自転車を輪行して、博多で朝ラーをすすってからペダルをこぎ出す。遠賀川を渡って芦屋町、室町の昔に名を馳せた「芦屋釜」——鋳物の茶釜に抹茶をいただき、響灘の海上風車や、沈んだ軍艦を埋めた防波堤をめぐって、真っ赤な若戸大橋を渡る。

二日目は、筑前と豊前を分けた「国境石」を一本ずつ探して走る。激坂の住宅街にひっそり立つ石柱、池のほとりのカワセミ、八幡の蔵元の蔵開き。鋳物の釜から製鉄の高炉まで——「くろがね」が一本の線で貫く北九州を、まるごと走り抜けた二日間の記録。

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DAY 1 · 03.14

芦屋釜の里と若松・軍艦防波堤をめぐる

旅のはじまりは博多駅。いつもの地下鉄改札にいつの間にかサブウェイができていたが、ここはやっぱり朝ラーで。折尾から前にも歩いた堀川運河に沿って北上し、水巻を抜けて遠賀川の河口へ。遠賀川と曲川にはさまれた細長い築堤の先っちょまで、つい行きたくなってしまう——こういうところ、大好き。

遠賀川を渡って芦屋町へ。せっかくだからと寄った「芦屋釜の里」が、思いのほかの当たりだった。鋳物の茶釜・芦屋釜は室町のころに隆盛し、江戸で一度途絶えたのを復活させて、いまも作り続けているという。新しくて高級感のある展示室に、日本庭園と茶室。お抹茶と上品なお茶菓子をいただいて、すっかりセレブ気分。歴史資料館では、戦時中にこの海岸へ木製の軍艦をこしらえて撮影していた、という面白い話にも出会った。

午後は頓田貯水池をぐるり。中華風の楼閣まである大濠公園のダム版で、アップダウンが地味に楽しい。響灘の岸に出ると、海の上に風車がずらり並んでいて思わず「しゅごい」。超強風のなか閉館10分前に展望台へ滑り込み(;´Д`)、沈んだ軍艦を埋めた防波堤を眺める。若松の市場でからあげをGETして、真っ赤な若戸大橋を渡り、戸畑の宿へ。北九州は地形も道路も複雑で、景色はいいけどだいぶ時間がかかった(ヽ´ω`)

移動 約86.1km / 獲得標高 23m

芦屋釜(あしやがま)

遠賀川の河口・芦屋の地で、鎌倉末から室町にかけて作られた茶の湯の鉄釜。真砂土の砂型に薄く鋳込む技と、地紋のうつくしさで全国の茶人に珍重され、国の重要文化財に指定される茶釜の多くがこの芦屋釜だという。江戸初期に生産が途絶えたが、町が「芦屋釜の里」で復元事業に取り組み、いまも釜師が火を入れている。鋳物の釜も、のちの八幡の高炉も、北九州はむかしから「くろがね(鉄)」の土地なのだ。

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DAY 2 · 03.15

筑前豊前の国境石巡りと八幡・溝上酒造の蔵開き

朝はめんたい卵かけご飯で(゚д゚)ウマカー。今日の目的は、筑前と豊前を分けた「国境石」めぐりだ。北九州は豊前のイメージだけど、若松・八幡・戸畑は筑前——その境目に建てられた石柱を、一本ずつ探して走る。まずはレトロな赤レンガの旧戸畑市役所のかたわらに移された一本目。近くの夜宮では、ガラスみたいにツルツルの大珪化木にそっと触れた。

この日はちょうど旧安川邸の無料公開日。安川家は筑豊御三家の一角で、半分洋館のこじんまりと上品な屋敷だ。くろがね線の現役の貨物線をのぞき、櫓山荘公園へ。そこからは国境石のハシゴ——漁業の境界標を抱いた海側の一本、逆光で文字の読めない金比羅池のほとり、長崎街道沿いの丘にそびえる巨大な一本。池ではカワセミを狙うカメラマンがずらりと並んでいた。

激坂の住宅街を越えて、八幡の溝上酒造の蔵開きへ。飲めないので甘酒と地酒を買い、豊前海一粒かきをひとつおまけしてもらう。高炉台公園の展望台に息を切らして登り(;´Д`)、「はがねつむように 家がたつ」八幡のまちを見渡す。〆は栗ちゃんのラーメン、黒崎城址から長崎街道黒崎宿をたどって、二日間の北九州サイクリングを閉じた。

移動 約24.4km / 獲得標高 9m

筑前・豊前の国境石

江戸時代、筑前福岡藩(黒田家)と豊前小倉藩(小笠原家)の領境を示すために建てられた石柱。「従是西筑前國」のように刻まれ、長崎街道のような往来の多い道筋では大ぶりに立てられた。北九州の若松・八幡・戸畑は筑前、小倉・門司は豊前——その境目は、いまも区境や市境としてまちに生き続けている。海辺には漁業の境界標を兼ねたもの、丘の上の住宅街にひっそり立つものと、一本ずつ性格がちがうのが面白い。