立花・みやま・大牟田の梅林と酒蔵めぐり
旅のはじまりは、降りるつもりの羽犬塚を乗り過ごして着いた筑後船小屋駅。まあいいか、と気を取り直してシルちゃんを組み立てる。朝は冷えるけれど、週末は暑くなる予報。まずは立花をめざして、梅を見に走り出す。溝口の竈門神社に手を合わせ、谷川梅林へ。年に一度、この週末だけ一般公開される私有地の梅林は、日当たりのいい丘からほころびはじめ、やわらかな香りが漂う。ホーホケキヨ、とうぐいすの初音まで聞こえてきて、もう春だ。
食事処でひと休み。芋天なのにふわふわもっちりの「ほたる揚げ」と、思わず手にとったビーガンコーヒーで一服☕ みやま市では、お城かと思えば八楽会教団のお寺で、九州オルレのスタート地点になっていてワロタ。山川の梅花園・青輝園では、座敷いっぱいに仕立てられた盆栽梅としだれ梅に目を奪われる。「こんなの玄関にドカンと飾りたい」。巨大な山川みかんのモニュメントに見送られ、玉水酒造では新酒を——「濁ってる方がよかですか?」と聞かれて、迷わず濁らせてもらった💕
お昼はRENGA亭でもつ煮込み定食。塩系のもつ煮は、値段のわりに量はほどほどだけど、味はめちゃうまい。平家最後の合戦の地という要川公園、ユーモラスな顔の「はなたれ小僧さま」、筑後と肥後の藩境に立つ古い境界石、北原白秋の生家をかすめて、熊本県境をちょいとまたぐ。今夜の宿は大牟田の温泉。4種類のサウナと水風呂、そして全裸で風に吹かれる——これが気持ちよすぎた。〆は旨辛イカタル丼で、一日分の疲れをほどく。
お座敷梅と盆栽梅
青輝園・梅花園のある福岡県みやま市の山川町は、観賞用の盆栽梅の産地として知られる。なかでも名物が「お座敷梅」——座敷に鉢植えの梅を所狭しと並べ、床の間ごと梅園に仕立てた、ここならではの眺め。幹をうねらせた古木のしだれ梅や、丹精された松の盆栽も見応えがある。梅の見頃は二月中旬から三月上旬。いい古木は何百万もするというから、眺めるだけでも目の保養になる。
国鉄佐賀線廃線跡をたどり大野島から佐賀へ
二日目は大牟田から電車でちょっと移動して瀬高へ。ここから佐賀まで、昔はしっていた国鉄佐賀線——その廃線跡を自転車でたどる。矢部川を渡り、三橋、百町、筑後柳河、東大川……ホームや駅名標だけを残した廃駅を、ひとつずつ拾っていく。西鉄とJRをつなぐ路線だったのに、残しておけばよかったのにな。たまたま行き当たった七ツ家の梅の木街道では、強い風に梅が舞って、花びらの吹雪のなかを走り抜けた。
廃線跡を離れて筑後川の河口へ。対岸は佐賀県。沖へのびる導流堤を眺め、明治の福岡と佐賀の漁業協定を刻んだ石碑をさがす(風化して読めないけれど)。漁港のそばのラーメン屋でお昼——スープが美味い、2回目のお気に入り。新田大橋で“筑紫次郎”筑後川を渡れば、福岡と佐賀の県境が島のなかを走る中洲の島・大野島。せっかくだから一周してみる。先端では、有明海沿岸道路の白いアーチ橋をくぐり、対岸に赤い筑後川昇開橋が見えた。
県境に沿って島を横断し、広大な干拓の麦畑を抜ける。福岡側にも佐賀側にも、両県の漁場の境を示す石標。強烈な南風を背に、今度はボーナスステージ。徐福が上陸したと伝わる地をたずね、朱色に組み上がった筑後川昇開橋を横目に、徐福サイクルロードを走って佐賀駅へゴール。この日は江北泊——“佐賀県のへその町”で、コンテナを積んだホテルに荷をほどき、うどん屋で竜田揚げセットの釜揚げうどんにありついた🍻
国鉄佐賀線と筑後川昇開橋
国鉄佐賀線は、福岡県の瀬高と佐賀を結んでいた路線で、1987年に廃止された。いまはサイクリングロードや遊歩道として跡がたどれ、三橋・筑後柳河・東大川などの駅跡が点々と残る。ハイライトは筑後川にかかる筑後川昇開橋——船を通すために橋の中央部がエレベーターのように上下する可動橋で、国の重要文化財・機械遺産に指定されている。いまは歩行者と自転車が渡れる遊歩道として、朱塗りのトラスが有明海の空に映える。
牛尾梅林と小城の酒蔵、男女神社を巡り帰宅
最終日は快晴、風もなし。朝ごはんは朝麻婆でスタート🍆 江北は、稚内から続く最長片道切符の終着駅——肥前山口時代のモニュメントを探す。叩くと金属のような音がする「カンカン石」に小石をあて、見上げれば、澄んだ空に熱気球が浮かんでいた🎈 みのり前の麦畑のあぜ道を、電車がのんびり行く。えびす像や大黒像を横目に牛津を抜け、名物アイスの名を冠したブラックモンブランフットボールセンターにワロタ。
そして牛尾梅林。丘の斜面を白梅がほころび、早いかと思ったけれどいい感じに咲きそろっていた。小城では、千葉の話のついでに九州千葉氏の祖の墓へ——柵のように並ぶ石碑は、よく見れば「従是」の境界石。掘り出したい衝動にかられる。小城の酒蔵でしぼりたての新酒をGET、荷物がまた重くなる。お昼はちゃんぽん。クリーミーなスープが(゚д゚)ウマカー。
急坂をあえぎながら登った先に、縁結びで知られる男女(なんにょ)神社。振り返れば佐賀平野が一望——みかん畑ごしに、ひろびろとした平野が広がる。みかん畑のなかの前方後円墳・船塚古墳をのぞき、立派なSAGAアリーナを眺めてから、佐賀駅へ。筑肥線に揺られて福岡へ帰る。今回は、梅の旅でしたね。
牛尾梅林と佐賀の梅どころ
佐賀県小城市の牛尾梅林は、牛尾神社の裏山の斜面に多くの梅が植わる梅の名所。紅白の梅が丘をおおい、頂からは佐賀平野を見晴らせる。小城は羊羹でも知られる城下町で、清水の滝や酒蔵が点在する。二月下旬から三月上旬が見頃で、梅まつりの頃にはにぎわう。周辺には縁結びの男女神社や、みかん畑のなかの前方後円墳・船塚古墳など、梅見のついでに立ち寄れる見どころも多い。