飯塚・嘉穂劇場特別見学会と筑豊めぐり
今日もまた飯塚にやってきた。西鉄のバスターミナルを出て、劇場までのんびり歩く。柔道場の看板を掲げた滴水館のレトロな構えや、『ジュラシックパーク』というやたら強そうな名前の駐車場、路地裏でこちらをうかがう黒猫——昭和の気配がそこここに残る筑豊のまちを、きょろきょろさんぽする。
そして嘉穂劇場。木の匂いのする客席にあがると、ちょうど舞台回し体験の真っ最中だった。人手不足だからと誘ってもらい、奈落にもぐって舞台の下に伸びた棒を押す——でかい舞台を回すには11人がかりだそうで、これが思いのほか力がいる💪 回りはじめると、回る~回る~よ舞台は回る~。つづいて客席から、二胡のミニコンサート。弦は2本きりなのに、こんなにいい音が出るのかと聴き入った。来年から解体ときくと、ここに来られたのがつくづくうれしい。南蔵院までで引き返す観光客を、筑豊までぐっと引き込むスポットになってほしい。
外に出れば商店街は街道まつり。ドーム天井の下、歌声のひびくアーケードのカフェでお昼をいただくと、やっぱり筑豊は食べ物がおいしい。曩祖八幡宮にペコリペコリとお参りし、歴史資料館では筑豊タワーのそびえる『未来の飯塚』にくすっと笑う。芦屋まで足をのばそうかと思ったけれど、また雨。博多駅まで戻って、朝からやっている店に腰を落ち着け、明太子の天ぷらをつまみに一杯ひっかけ、〆の『デザート』は牧のうどんで一日を閉じた。
嘉穂劇場
1931年(昭和6年)、炭鉱でにぎわう筑豊に芝居小屋として開場した木造の劇場。回り舞台やすっぽん、花道、桝席をそなえた本格的な芝居小屋で、興行の全盛期には炭鉱労働者やその家族でにぎわった。水害や台風でなんども傷みながら、そのつど全国の歌舞伎役者や市民の寄付で立ち直り、「奇跡の芝居小屋」とも呼ばれてきた。舞台の床下にひろがる薄暗い空間は「奈落」と呼ばれ、人力で回り舞台を押して動かす仕掛けがいまも残る。老朽化のため、保存に向けた解体・改修が予定されている。