福岡から空路で北東北へ、一戸・御所野遺跡と八戸泊
旅のはじまりは福岡空港。初めてのクラスJにうきうきしながら仙台へ飛び、朝いちばんから牛たんでベロチュー。付け合わせの漬物まで買って帰りたいうまさだ。満員の空港アクセス線で仙台に出て、東北新幹線を北へ北へ。降りた二戸の駅前では、雨のなか「おちんぽ神輿」が担がれていてワロタ——祭りはそこそこに、バスと徒歩で一戸へ向かう。
お目当ては、世界遺産にもなった縄文のムラ・御所野遺跡。トンネルを抜けると縄文時代、土屋根の竪穴住居がいくつも復元されていて、中は意外に広く、雨漏りもせず普通に住めそう。弥生の復元家屋よりワイルドでシャレている。遺跡のあとは博物館で縄文のお勉強、一戸では雑穀を買いこんだ。
IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道を乗り継いで八戸へ。夜は郷土料理の店で、八戸産のタコ刺しにイカバター、太った青森産のさんま、そして田子のにんにく丸揚げ。「一番安い」如空をちびちびやりながら、しょっぱい北の味に身をゆだねた。
世界遺産・御所野遺跡
岩手県一戸町にある縄文時代中期(約5000〜4000年前)の大規模なムラの跡。2021年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」としてユネスコ世界文化遺産に登録された17遺跡のひとつだ。見どころは、土を葺いた「土屋根」の竪穴建物の復元。全国的にも珍しい復元で、茅葺きとはまた違う、どっしりワイルドな姿をしている。隣接する御所野縄文博物館へは、丘をくぐる「縄文へのトンネル」で渡る趣向になっている。
三沢基地航空祭でブルーインパルス観覧、岩手へ
八戸始発でまだ暗いうちに三沢へ。シャトルバスに揺られ、米兵のハンディ探知機と自衛隊の身分証チェックをくぐって、いよいよ三沢基地の航空祭に入場だ。強風のなか青空がのぞく。基地のなかは米軍ゾーンと自衛隊ゾーンが地続きで、垣根のないアメリカンな雰囲気。
まずはアメリカンフードで腹ごしらえ。ステーキとポテトを巻いたボリュームたっぷりのブリトーと、パンとソーセージだけのワイルドなホットドッグ。巨大な無人偵察機やレーダー機、米軍の大型機の地上展示を見てまわり、音楽隊のマツケンサンバで待つうち、13時——お待ちかねのブルーインパルスが青空に白い航跡を描く。たっぷり見られて大満足。蛍の光に送られて基地をあとにした。
帰りは十和田名物の10色アイスでひんやり。色数はすごいが、全部混ざって味はわけわかめ。とうてつ駅そばをすすり、三沢駅のホッキ貝キャラに見送られて南下。シルバーフェリーで北海道…と見せかけて、鉄道で岩手の種市へ戻り、海沿いの温泉宿にしけこんだ。
三沢基地と航空祭
三沢飛行場は、航空自衛隊・米空軍・民間(三沢空港)が共用する、日本でも珍しい日米共同使用の基地。航空祭では米軍機と自衛隊機が同じエプロンに並び、場内も米側ゾーンと自衛隊ゾーンが地続きという独特の雰囲気になる。フィナーレを飾るのは、航空自衛隊の曲技飛行チーム・ブルーインパルス。6機のT-4練習機が白いスモークで大空に描くアクロバットは、航空祭いちばんの見せ場だ。アクセスの悪さでも航空ファンに知られる。
洋野町・久慈からバスで内陸を縦断し盛岡入り
温泉宿の朝風呂は地元の爺さんでにぎわう公衆浴場だった。種市や階上のあたり——洋野町の海べりを散歩する。涼しくていい天気。海を見下ろす神社の裏で朝のおやつ、くるみがぎっしり詰まったくるみもなかが(゚д゚)ウマイ。昭和八年と明治、二つの大津波の記念碑が、静かに海を見ている。
青森と岩手の県境へ。陸は看板すらなくそっけないのに、浜には漁業権が絡むのか立派な旗竿が立ち、なんと海の中にも県境石が沈んでいるという。潜水の授業で知られる種市高校を横目に、八戸線で久慈へ「じぇじぇじぇ」。昼は行列店・らーめんの千草で、あっさりスープに肉厚の鶏チャーシューめん。琥珀の街をぶらりしてから、盛岡行きのバスに乗りこむ。
くずまき高原や沼宮内を経て、記憶に残る道の駅・石神の丘へ。芝生のあちこちに石の彫刻が転がり、イシツブテの聖地のよう。夕暮れの盛岡に着くと、肴町のアーケードがお出迎え。お目当てのじゃじゃ麺屋は休みで、ホテル前の三陸居酒屋へ。キムチ納豆炒めが家でも作りたいうまさだった。
種市高校と南部もぐり
洋野町の岩手県立種市高校には、全国でも珍しい海洋開発科があり、ヘルメット式の潜水「南部もぐり」を学べる。明治期にこの地へ伝わった潜水技術は、港湾工事やウニ漁を支えてきた三陸の誇り。座学まで水中で受けると噂される実習は、朝ドラ「あまちゃん」で潜水の名所として全国に知られた。久慈のあたりで飛び出す「じぇじぇじぇ」も、このドラマで一躍有名になった三陸の方言だ。
盛岡の朝市と史跡を巡り花巻空港から帰宅
最終日は4時起きで神子田朝市へ。風がやんで思ったより寒くない。まずはひっつみで温まる——茹でたてのつるつるむちむちの生地(というか一反木綿)がたっぷり(゚д゚)ウマー。たまごサンドとコーヒーも。数分でひとまわりできる規模なのに、野菜も海産物も惣菜もそばも靴も美容室まであって、毎日やっているというから驚く。
手水に胡蝶蘭を浮かべたゴージャスな盛岡八幡宮にお参りし、町家物語館や老舗の酒蔵あさ開をめぐる。市街地のど真ん中に湧水の洗い場「大慈清水・青龍水」があり、水を汲む爺さんにめっちゃ睨まれた。本町をぶらりと歩けば、さすが「世界で2番目に行くべき街」、それだけで楽しい。盛岡は、城と川と官庁街でできた水の街だ。
もりおか歴史文化館では、思いのほかボリュームたっぷりの南部氏の物語。お目当ての黒田官兵衛の兜(クソダサと聞いていたが、実物はなぜかかっこいい)に、来た甲斐があったと笑う。マリオスの展望台から雲をかぶった岩手山を眺め、花巻(大谷翔平)空港から福岡へ。マルカン大食堂ゆずりのナポリカツで、四日間を締めくくった。
世界が選んだ街・盛岡
米ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」で、盛岡はロンドンに次ぐ堂々の世界2位に選ばれた。歩いて楽しめるコンパクトな城下町、北上川と中津川の清流、大正レトロな近代建築、そして神子田朝市の活気——派手さはないが、静かな奥行きが評価された。市街の真ん中に残る湧水の洗い場「大慈清水・青龍水」は、酒蔵あさ開も近く、この街が水の都であることを今に伝えている。