福岡から夜行バスで松山へ
金曜の夜、博多ではなく天神から。西鉄の高速バスターミナルで夜行バスに乗りこむ。前は伊予鉄、今度は瀬戸内運輸——座席に身を沈めて目を閉じれば、瀬戸内海を越えるころには夢の中。頭の片すみでは、もう高原の涼しい風を思い描いていた。
松山・道後温泉から久万高原・落出へ
朝いちの松山。まずは改修を終えた道後温泉本館で朝風呂をきめる。ぬるすべのお湯にひたって、夜行バスの疲れをまずリセット。松山人が愛する醤油餅をかじり、取り壊しの進む旧駅舎にしんみりしてから、暑くなる前に山へ逃げる。
久万高原で町営バスに乗り継ぎ、どんどん奥地の落出へ。思ったより開けた谷の町は、今は静かだけれど、かつての賑わいの気配がのこる。廃校になった小学校を使ったレストランでハンバーグのお昼——教室でJSランチ、なんて軽口をたたきつつ、少子化のリアルに少しだけ胸が痛む。
急な坂道をぐいぐい登って早虎神社へ。中腹を過ぎると空き家と草むらが目立ちはじめ、山里のさびしさが身にしみる。今夜の宿は、なんと廃校の中学校の寮をまるごと使ったベトナムハウス。好きな館内着(アオザイ!)を選んで、ベトナム定食の夕飯に舌鼓を打った。
廃校がよみがえる
過疎と少子化で閉じた学校を、宿や食堂に生かす試みが各地にある。久万高原町の落出まわりでは、廃校になった小学校がレストランに、山あいの旧柳谷中学校の寮がベトナム料理の宿「ベトナムハウス チャム」に姿を変えていた。平成の掃除当番表がそのまま貼られた廊下や、教室の名残をとどめたまま、旅人を迎えてくれる。山に点在する孤立した集落のため、スクールバスではなく寮まで備えた学校が、いま静かに役目を変えている。
四国カルスト散策と須崎泊
朝ごはんもベトナム料理。山の朝はひんやり涼しい。落出まで下りて、この年ようやく復活した四国カルストのシャトルバスに乗りこむ。乗客はたわし一人——運転手さんと話しこむうちに、天空の高原・天狗高原のカルストテラスに到着。涼しいィィィィ!!
ここからが本番。白い石灰岩がにょきにょき顔を出す緑の稜線を、のんびり歩く。足もとにはいろんな花、ぽっかり窪んだドリーネ、五段高原まで来ると牛が草をはむ。『四国カルストといえばこの眺め』——写真で何度も見たあの景色の、まんなかに立っていた。
下界へ降りる前に、檮原の道の駅で割り箸を組んだような建築に目を丸くする。ストーンホワイトのバスは冷房なしであちゅい。須崎に着けば下界は灼熱地獄(;´Д`)。かわうそのしんじょう君に迎えられ、コンサルさんに教わった隠れ宿へ。晩ごはんはカツオに鯛めし、梅豆腐——高知は海鮮パラダイスだ(゚д゚)ウマイキー
四国カルスト
愛媛と高知の県境、標高1,000〜1,500mの稜線に約25kmにわたって広がる、日本有数のカルスト台地。秋吉台・平尾台と並ぶ日本三大カルストのひとつで、緑の草原に白い石灰岩が点々と顔を出す独特の景観がつづく。雨水が石灰岩を溶かしてできた、すり鉢状の窪み「ドリーネ」もあちこちに見られる。夏でもひんやり涼しく、放牧された牛がのんびり草をはむ。公共交通では行きにくい秘境で、この年ようやく復活した期間限定のシャトルバスが、頼みの綱だった。
日高村と高知、岡山経由で帰宅
最終日。三連休で一番の晴れだけど、下界に降りた以上は暑いだけ(ヽ´ω`)。須崎から日高村へ。ここはオムライスで村おこしをしている村だ。土佐二之宮・小村神社の杉並木を抜けると、ちょうどいいところにオムライス屋さん。営業は8時からなのに、オムライスは10時半から、だと…!?
エビフライに自家製タルタル、薄焼き卵はふんわり、中はひかえめ酸味のケチャップライス——完成度の高い一皿に、うーまーいーぞー🍤。あとは特急で高知、そして遠回りして岡山へ。岡山では空襲展示室で焼け野原からの復興の速さに驚き、ピーチポークのトンテキで〆。新幹線で九州へ渡り、夜に福岡着。乗り継ぎづくしの三連休、完走。
日高村のオムライス
高知県のまんなか、仁淀川のほとりの小さな村・日高村は、特産のフルーツトマト(シュガートマト)を生かしたオムライスで村おこしに取り組む。村内の店をめぐる「オムライス街道」として知られ、休日には行列もできる。土佐二之宮・小村神社は、国宝の金銅荘環頭大刀拵を伝える古社で、参道の長い杉並木が、暑い一日にひとときの涼をくれる。