福岡から熊本・大津へ前泊
旅のはじまりは福岡から。阿蘇へ鉄道で向かうなら、始発に乗るために大津で前泊するのが鉄則——大人気観光地のわりに、ふつうに行くと昼前に着いてしまうダイヤなのだ。
晩ごはんはヒライで海老天カレーうどん。チーズと🍚を落としても700円しないのだから、ヒライはやっぱり最高だ。SMSで届く暗証番号で鍵を受け取る“ハイテクなボロ宿”に、ちょっと面食らいながらチェックインして、明日の始発にそなえた。
阿蘇から産山村ヒゴタイ公園へ、竹田泊
早朝のカルデラは霧で真っ白。外輪山の上では、雲海が広がっているんだろうか。九州でいちばん高い駅・波野から、今日の相棒・折りたたみ自転車「シルちゃん」の出番だ。みさえのふるさとを名乗る道の駅でひと休みして、鉄道も主要道路もない産山村へ——来ようと思わないと来られない村に、わざわざ会いに行く。
UBUYAMAソフトは濃厚なミルク感と爽やかさのバランスが絶妙で(゚д゚)ウマカー。涼しい高原をてくてく、平川阿蘇神社の神面杉を見上げ、池山水源の湧き出し口をのぞく。名水で淹れたレーコーがまたうまい。牧草地では阿蘇の赤牛がのんびり草を食み、青空の下、ウィンドウズの壁紙みたいな景色がどこまでも続いていく。
登りに登ってヒゴタイ公園へ(;´Д`)ハァハァ。猛暑で数は少ないと聞いていたけれど、アオムラサキのまん丸いヒゴタイがちゃんと咲いていた。青い蜂“ブルービー”には会えずじまい。遅めのお昼は産山水御園で川魚づくし——刺身はコリコリむちむち、塩焼きは内臓まで、唐揚げは骨を感じないほどサックサクで、これで1500円は安すぎる。山を下って、おんせん県・大分の豊後竹田でゴール。夜はいつもの丸福、カボス絞り放題でおつかれちゃん🍻。
ヒゴタイって?
キク科の多年草で、直径数センチの球をいくつも集めたような青紫色の花をつける。本州西部から九州の、限られた草原にだけ残る大陸系の植物で、数を減らしている希少種だ。産山村のヒゴタイ公園は国内有数の群生地で、見頃は夏の終わりから初秋。花のまわりには、やはり珍しい“ブルービー”ことルリモンハナバチが蜜を吸いに現れることでも知られ、幸せを呼ぶ青い蜂として人気がある。
阿蘇外輪山ミルクロードから菊池・玉名へ
竹田から豊後荻へひと駅もどり、ふたたび波野からスタート。道の駅波野でおにぎりを頬張ったら、いよいよミルクロードへ突入する——涼しくて、景色がよくて、車が少なくて、勾配もゆるい。自転車乗りにとっては天国みたいな道だ。
城山展望台からは、田んぼがモザイク模様に広がる阿蘇谷を見下ろす。そして大観峰キタ━━!! 外輪山の縁に立てば、カルデラの底に広がる田園と、中央にどっしり座る阿蘇五岳がいちどに目に飛び込んでくる。阿蘇スカイライン展望所、かぶと岩展望台と絶景の展望台をつないで西へ。どこで足を止めても、ため息しか出ない眺めばかりだ。
二重峠から菊池へ、一気にダウンヒル。菊池渓谷は紅葉の頃にまた来ることにして、ビジターセンターのカレーで腹ごしらえ。下界はやっぱり暑い。七城のメロンドームで🍈ジュースを流し込み、日本遺産・菊池川沿いをたどって玉名へ。ちょうど100kmを走りきって、玉名温泉でさっぱり。湯上がりの牛乳と秋刀魚で、三日間の旅をしずかに閉じた。
阿蘇のカルデラとミルクロード
阿蘇のカルデラは、巨大噴火でできた南北約25km・東西約18kmの、世界でも屈指の大きさ。その縁をぐるりと囲むのが外輪山で、尾根沿いを走る観光道路が通称「ミルクロード」だ。沿道いっぱいに広がる牧草地と放牧の風景が、酪農のさかんな土地らしい名前の由来になっている。大観峰は外輪山きっての展望地で、眼下にカルデラの田園と、中央にそびえる阿蘇五岳をまるごと一望できる、阿蘇随一の絶景スポットとして知られる。