福岡から東京へ出張、西葛西でカレー
はじまりは福岡。用事のまえに腹ごしらえをすませ、JAL の A350 に乗りこんで羽田へ飛ぶ。窓の外には、きらめく夜景。週末はそのついで、というのが今回の建前だ。
宿は葛西。夕飯は西葛西のインドカレーへ繰り出した。この一皿、のちにスレの住人が「エリックサウス?」「南インドなのは正解」「西葛西!」と総出で店を特定しにかかる珍事を生むのだが、それはまた別のお話。南インドの香りで、東京初日の夜は更けていった。
春日部の地下神殿から尾張の夏祭りへ
二日酔いの頭をかかえて、朝は東京駅で立ち食いそば。ずるずるとすすっていざ出発——のはずが、東京は間違いなく福岡より暑い。「暑すぎるから埼玉まで来たけど暑すぎる🥵」。駅から会場までのバスもなく、灼ける地上をタクシーで逃げた先が、春日部の首都圏外郭放水路。そう、地底なら涼しいに決まっとろうもん。
階段を降りると、空気がひんやり入れ替わる。立ち並ぶ59本の巨大な柱、見上げるほどの天井——「地下神殿しゅご~」。増水した川の水をいったん受け止め、江戸川へ逃がすための調圧水槽だ。ガウディだ、だまし絵だ、と気分が上がったところで地上に出れば、一瞬で地獄に逆戻り。道の駅へ命からがら退避して、昼は焼きたてのチーズナン。カレーはなくとも、チーズナンの前では不要なのだ。
「暑すぎるから東京編終わり🚄」。新幹線でひとっ飛び、着いたのは愛知。泊まる一宮の七夕まつりをそっと素通りして、向かったのは津島天王祭。会場では、日暮れを待つ舟に職人が一つずつ提灯を取り付けていた。半円の提灯がだんだん増え、やがて闇に金色の光がぽうっと浮かぶ。「日が暮れるのにあわせてちょっとずつ提灯が増えていくの風流だわねぇ」。祭りのあとは一宮に戻り、昼もナンしか食べていない胃に、中華そばが染みわたった。
首都圏外郭放水路(地下神殿)
埼玉県春日部市の地下約50mに広がる、世界最大級の地下放水路。中川や倉松川などが増水すると、その水を立坑で受け止め、トンネルを通して「調圧水槽」にため、ポンプで江戸川へ排出して街を洪水から守る。なかでも調圧水槽は、長さ177m・幅78mの空間に高さ18mの巨大な柱が59本も林立し、その荘厳さから「地下神殿」と呼ばれる。見学は地上の龍Q館から予約して入る。ふだんは水のない乾いた空間で、床に残る水は湿気や雨水の名残だ。
津島天王祭
愛知県津島市・天王川公園で600年以上続く、川を舞台にした夏祭り。宵祭では、半円状に数百もの提灯をともした「巻藁舟(まきわらぶね)」が、日暮れとともに天王川に漕ぎ出す。提灯は一つずつ手で取り付けられ、灯がともると水面に金色の光が映りこむ。隣の一宮が七夕で賑わう一方、こちらは少し静かで、ゆっくりと舟を眺められる。
一宮七夕祭りと名古屋トヨタ館、空路帰宅
最終日も朝から日差しがクソだ。チェックアウト前に、尾張一宮の名の由来——真清田神社へ。七夕まつりまっさかりの参道には、色とりどりの吹き流しがびっしり垂れさがり、お化け屋敷まで出ていた。「かわいいJKになれますように🎋」と短冊に願いをかけてみる。尾張は繊維で栄えた土地、だから七夕を盛大にやるのだという。本町商店街のアーケードは、見上げれば天井まで七夕一色だった。
駅で名古屋名物のモーニング。ドリンク代だけで、ふわふわのバター小倉トーストとゆで卵がついてくる。腹ごしらえをすませて名鉄で名古屋へ。「にゃごやといえば世界のTOYOTA様だがね」——赤レンガのトヨタ産業技術記念館へ向かう。
繊維機械館には、ずらりと並ぶ糸巻きや、歯車とプーリーがむきだしの機械がいちいちかっこいい。実演も多く、織機づくりの技術がそのまま自動車づくりへ引き継がれていく様子に見入った。自動車館では2000GTやセリカにうっとり。すごいボリュームで、最後は流し見になったほど。名駅では名鉄WAO!の衣装をまとったナナちゃん人形に遭遇し、あんかけスパをかきこんで、セントレアから福岡への帰路についた。
真清田神社と一宮七夕まつり
真清田(ますみだ)神社は尾張国の一宮で、「一宮」という地名そのものの由来となった古社。毎年7月下旬の「おりもの感謝祭 一宮七夕まつり」は、仙台・平塚とならぶ日本三大七夕のひとつとされる。尾張一宮は古くから織物(繊維)の町として栄え、織物への感謝を込めて祭りが営まれてきた。本町商店街のアーケードには色とりどりの吹き流しが隙間なく下がり、街全体が七夕に染まる。
トヨタ産業技術記念館
名古屋市・トヨタグループ発祥の地に建つ博物館。赤レンガの旧・豊田紡織の工場を活かし、「繊維機械館」と「自動車館」の二つの柱で構成される。豊田佐吉の自動織機から始まった技術が、どのようにして自動車づくりへと受け継がれたかを、実物の機械と実演で体感できる。歯車がむきだしの旧式機械から現代の生産ラインまで、ものづくりの系譜をたどれる見ごたえたっぷりの展示だ。