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広島・呉・江田島 すずさんの海をめぐる
HIROSHIMA · KURE · ETAJIMA · 2025 初夏

広島・呉・江田島 すずさんの海をめぐる

祈りのまちと、坂と海の軍港へ。

2025.6.14 ▶ 6.15

Days2日間
Dist約94km
Area広島・安芸郡・呉
Top最高 212m

瀬戸内のまぶしい初夏。朝いちの新幹線で広島に降り立ち、まずは元安川のほとりへ向かう。鉄骨をさらした原爆ドームを見上げ、平和記念資料館で言葉を失い、慰霊碑のアーチの向こうにドームを望む——世界中からの旅人と修学旅行生にまじって、祈りのまちを静かに歩いた。

昼は鉄板の前でお好み焼き、午後は広島城と美術館の浮世絵ネコ展、夕方は海田町の宿で厚揚げとホルモンをつつく。二日目は坂と海の軍港・呉へ。長官官舎の洋館、旧海軍の建物、そして「この世界の片隅に」のすずさんが暮らした斜面のまちを登り下りして、船で江田島へ渡った。祈りと暮らし、海と坂の、濃い二日間の記録。

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DAY 1 · 06.14

広島市街の平和記念公園・広島城と海田町泊

広島の朝は、ホームの立ち食いうどんから。えび天とかまぼこをのせた一杯をすすって、さあ今日は平和記念公園へ。真新しいサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」の大きさに見とれつつ、川沿いを下っていく。

元安川のほとりに立つと、鉄骨をさらした原爆ドームがそこにあった。平和記念資料館は朝7時半から開いていて、館内は外国からの旅人が半分、修学旅行生が三割。展示の前で、しばらく言葉が出てこない。慰霊碑のアーチの向こうにドームを望み、川ぞいの被爆建物・レストハウスや、宮島ゆきの船が出る元安桟橋を眺めて、祈りのまちをゆっくり歩いた。

お昼は鉄板の前でお好み焼き。イカ天入りのを頬ばると、やっぱり広島はこれ。午後はひろしま美術館へ。ちょうど浮世絵の「ネコづくし」展をやっていて、涼みがてらネコの絵に囲まれる。取り壊し前の広島城を見上げ、護国神社に手をあわせて、夕方は海田町の宿へ。鉄板を囲んで、厚揚げとホルモン(ホモルン)、海田の酒「本州一」で一日を締めた。

移動 約34.9km / 獲得標高 112m

原爆ドームと平和記念公園

1915年に「広島県物産陳列館」として開館したチェコ人建築家ヤン・レツルの設計による洋館が、1945年8月6日の原爆で中心部に残った骨組み——いまの原爆ドームだ。爆心地はこのドームのすぐそば、島病院の上空約600mとされる。公園内には丹下健三の設計で原爆死没者慰霊碑が置かれ、そのアーチ越しに平和の灯とドームが一直線に並ぶよう計算されている。資料館は朝7時半から開き、いまも世界中から訪れる人が絶えない。

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DAY 2 · 06.15

海田町から呉・江田島をめぐり福岡へ帰宅

二日目は海田町のさんぽから。もともと海だった低地に、江戸時代、西国街道が海側を通って栄えたまち。急な石段を登って大師寺にお参りし、高台から町と海を見下ろす。海田には「本州一」の酒蔵と、日本人初のオリンピック金メダリスト・織田幹雄の記念館があった。三段跳の跳躍で戦前につかんだ金——こぢんまりした無料の展示室で、昔の陸上競技の映像に見入る。ちょうど特別公開だった千葉家住宅は、房総の武士で町長もつとめた旧家だった。

晴れて暑くなった空の下、マツダミュージアムはやめて呉へ。旧海軍の軍港まちは、赤い大きな青山クラブ、長官官舎の洋館(入船山記念館)と、海軍の記憶がそこかしこに残る。暑さに音を上げて涼ミ岩で風に吹かれ、そこから坂を下っていくと——「この世界の片隅に」のすずさん家を発見。斜面にびっしり家がへばりつく呉のまちを、登り下りした。

腹が減って、広島名物のつけ麺を「辛部」で。辛さ15倍も選べる赤いつけダレに、平麺をどぼん。来た道をただ戻るのもつまらないと、潰れたテーマパーク跡の呉ポートピアをのぞき、船に乗って江田島・切串港へ上陸。待合室の亀に見送られ、無人販売でおっきなズッキーニを100円で手に入れて、また船で広島へ。宇品港から戻った広島駅は、路面電車が高架で乗り入れる工事中の大変身ぶり。小いわしの唐揚げとせんじがら、地酒「雨後の月」で軽く一杯やって、夜の新幹線で福岡へ帰った。

移動 約58.6km / 獲得標高 189m

この世界の片隅に、呉

こうの史代の漫画と、片渕須直監督のアニメ映画で知られる「この世界の片隅に」。広島・江波で育った主人公・すず(北條すず)が、昭和18年に軍港のまち呉へ嫁ぎ、戦時下の日々をていねいに生きる物語だ。作中には呉の実在の坂道や風景が緻密に描きこまれ、すずさんが暮らした高台の家もファンの「聖地」になっている。呉は戦前から海軍の一大拠点で、戦艦大和を建造した軍港。坂にびっしりと家が建つ独特の地形は、いまも映画そのままの空気をたたえている。