有田陶器市と三川内焼、佐賀で夕食
朝いちで福岡を出て、まずは有田へ。目抜き通りはホコ天になり、道の両側に磁器を積んだテントがどこまでも続く。安いのはB級品で100円から——とはいえ、やっぱり店内に並ぶきれいな一客に目がいってしまう。少し歩けば泉山磁石場。切り立った白い岩肌を見上げると、有田焼はもともと、この山の石から生まれたのだと教わる。足もとのマンホールにはなぜかガンダム、お茶請けの名物ごどうふをつるんといただいて、重い荷物を抱えて有田駅へ。
電車で峠を越えて三川内へ。煙突の立ち並ぶまちは有田とはうって変わって静かで、白地に藍の染付が主役。古い登り窯や窯元の路地をぶらつき、やきものの神をまつる陶祖神社に手を合わせる。無料で写真も撮れる三川内焼美術館では、思わず声が出た——400人の唐子をびっしり描いた大皿、菊の花びらを一枚ずつ盛り上げた置き上げ、透かし彫りの白磁の龍。バブルの頃は何百万もする大作が飛ぶように売れたという、名人たちの超絶技巧に、しばし足が止まった。
日が暮れて佐賀市へ。しめの佐賀ラーメンは、九州のラーメンでいちばん好きかもしれない、やさしい味わい。餃子のタレには最初からネギがどっさり乗っていた。買った器を抱えて、満ち足りた気分でバスに揺られて帰る。
有田焼と三川内焼
どちらも17世紀はじめ、朝鮮から渡った陶工がひらいた磁器の産地。有田は泉山で良質な陶石が見つかったことで日本磁器発祥の地となり、華やかな色絵(柿右衛門・金襴手)で知られる。いっぽう長崎・佐世保の三川内焼(平戸焼)は、平戸藩の御用窯として白磁に呉須(ごす)の藍一色で描く染付を磨き、唐子(からこ)絵や透かし彫り・置き上げといった細密な技で名をあげた。有田がにぎやかな市なら、三川内は静かな名人芸——同じ磁器でも、まちの気配はずいぶん違う。