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炭鉱と花と、有明の潮
CHIKUGO · ARIAKE · 2025 はる

炭鉱と花と、有明の潮

黒ダイヤの記憶と、つつじ・藤の色。

2025.4.26 ▶ 4.27

Days2日間
Dist約103km
Area福岡・熊本
Top最高 139m

出発の朝、相棒の折りたたみ自転車「クロちゃん」のチェーンがプツリと切れた。予約済みの宿はキャンセルできず、泣く泣く輪行あらため鉄道の旅に切り替えて、筑後路を南へ。

久留米で朝からとんこつをすすり、つつじの土手をそぞろ歩く。大牟田では、近代日本を支えた三池炭鉱——黒ダイヤを掘り、有明海のはげしい潮位差を閘門で乗り越えて船に積みこんだ産業の記憶にふれる。閉山のカレンダーがぶら下がる三川坑の生々しさ、案内のおばちゃんの名調子。玉名の湯で汗を流し、翌朝は等身大の四天王と、おほほ~と声が出るほど見頃の藤に迎えられた。黒ダイヤと花の、濃密な二日間。

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DAY 1 · 04.26

久留米のつつじ、三池炭鉱、有明の閘門

相棒のクロちゃんが使えないまま、鉄道で博多へ。久留米の名店・丸星中華そばセンターは、食券に「替玉」とあるのに店のおばちゃんは「替えメン」と呼ぶ。朝からとんこつ、肉じゃがと煮物は食べ放題。ドロドロのスープが細麺によく絡んで(゚д゚)ウマカー。腹ができたら、久留米といえばのつつじへ。筑後川の土手沿いも世界のつつじ園も、思ったより慎ましくこじんまり——それでも河畔を彩る花は、まぎれもなく春そのものだった。

大牟田へ移動して、いよいよ三池炭鉱。まずは石炭産業科学館で、ニセの地下坑道をくぐって久留米のつつじ園とは比べものにならないスケールにびっくり。そして前回来られなかった三川坑へ。こんな小さな小屋みたいな入口から、地下深くまで潜っていたのだ。世界遺産の指定からは外れているぶん、必要最低限しか手が入っていない無造作さが生々しい。閉山の年のカレンダーがこれ見よがしにぶら下がって、演出を疑うほどだった。

三池港は、干満差のはげしい有明海で大型船を出入りさせるための閘門のまち。そろそろ開門と聞いて展望所で待つと、片側ずつゆっくり水門が開き、汽笛を鳴らして船が滑りこんできた。旧三井の私設税関では、案内のおばちゃんが港のことも周辺の企業のことも次々と教えてくれて大活躍。遅めの昼は東洋軒のラーメンで、麺が完璧。草木饅頭を手みやげに玉名へ下り、源泉かけ流しの玉名温泉でゆっくり汗を流した。

移動 約94.3km / 獲得標高 152m

黒ダイヤと世界遺産

三池炭鉱は、江戸期にはじまり明治以降に三井が本格開発した日本有数の炭鉱で、石炭は「黒ダイヤ」と呼ばれ近代日本の産業を支えた。干満差が国内最大級の有明海では大型船の接岸が難しく、三池港は水位を一定に保つ閘門(ロックゲート)を備えて石炭の積み出しを可能にした。2015年、三池炭鉱の宮原坑・万田坑や専用鉄道敷跡、三池港などは「明治日本の産業革命遺産」としてユネスコ世界文化遺産に登録されている。いっぽう今回おとずれた三川坑は戦後の主力坑口で、世界遺産の構成資産には含まれていない。

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DAY 2 · 04.27

等身大の四天王と、山田の藤

二日目の朝は、起きていきなり団子から。玉名の蓮華院誕生寺では、色付きで等身大の四天王像がお出迎え——これがかっこよすぎて、思わず「やったぜ」。邪鬼を踏まえた守り神たちの迫力に、朝からすっかり目が覚めた。

山田の藤へまわると、藤棚いっぱいに花が垂れて、あたりにはいい香りが満ちていた。おほほ~と声が出るほどの見頃。暑いくらいの陽気に「もう帰ろうねぇ」と、山菜を買いこんで、昼前には福岡の自宅へ。黒ダイヤの記憶と、つつじ・藤の色。鉄道に切り替えた二日間の筑後路も、ちゃんと満ちていた。

移動 約9.1km / 獲得標高 19m

四天王

仏法を守る四柱の守護神で、持国天(東)・増長天(南)・広目天(西)・多聞天(北)が須弥山の四方を守るとされる。寺院では本尊を囲む四隅に安置され、武装して邪鬼を踏みつける姿であらわされることが多い。多聞天は単独でまつられると毘沙門天と呼ばれ、七福神にも数えられる。極彩色で等身大ともなれば、その迫力はひとしおだ。