天神さまと、土の人形たち
太宰府直行の列車に揺られて、西の都へ。参道の街灯には「はにわ」展と門前まつりののぼり旗がはためき、今日の二つのお目当てが、さっそく顔をそろえていた。まずは太宰府天満宮へ。ペコリペコリパンパン——手を合わせて見上げれば、御神木の飛梅はまだ咲いていない、かたい蕾のまま。朝ごはんは、焼きたてで柔らかい梅ヶ枝餅。あつあつをひとくち、(゚д゚)ウマカー。
本宮の北側は初めて歩く道。炭鉱王・麻生太吉が昭和のはじめに寄進したという赤レンガのトンネルを抜け、朱塗りの鳥居が連なる天開稲荷社の石段をのぼる。インスタ映えスポットらしいこの坂を、韓国からの参拝客もしっかりお参りしていて、天神さまの人気を感じる。
梅林を横目に、丘の上の九州国立博物館へ。お目当ては特別展「はにわ」。翼を広げた鳥、堂々たる馬、にっこり笑う男子、そして国宝・挂甲の武人——明治天皇の御陵のために近代につくられた武人埴輪まで、土の人形がずらりと並ぶ。すっかり見入って、ついでの常設展も気づけばじっくり。締めは萩野屋のかつ丼うどんセット、どっちがメインか決められないツートップ。このうどん、石臼挽きの太麺でやわくないぞ! 雨が降り出したので、はにわの最中をおみやに、満ち足りて帰路についた。
飛梅伝説
太宰府天満宮の御神木「飛梅」は、本殿前に立つ白梅。京を追われて大宰府へ下る菅原道真を慕い、京の屋敷の梅が一夜にして空を飛び、主のもとへ降り立ったという伝説で知られる。例年もっとも早く咲く梅ともいわれるが、二月なかばのこの日はまだかたい蕾。道真は梅をこよなく愛し、「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」の歌を残した。学問の神・天神さまとして、受験シーズンの境内はいつも参拝客でにぎわう。
はにわって?
埴輪は、古墳時代(3〜6世紀ごろ)に古墳の上や周囲に並べられた素焼きの土製品。はじめは円筒形だったものが、やがて家・武具・馬・水鳥、そして人をかたどった「形象埴輪」へと広がった。巫女や武人、笑う男子の姿は、葬送の儀礼や王の権威を今に伝える。九州国立博物館の特別展「はにわ」では、各地の名品が一堂に会し、群馬・綿貫観音山古墳出土の国宝「挂甲の武人」も登場。翼を広げた鳥形埴輪は空高く舞う猛禽にたとえられ、その凛とした姿が人気を集めていた。