うきは市の蔵まつりから夜明・添田・田川を鉄道とBRTで巡る
二月十一日、祝日の朝。福岡から久大本線にゆられて、浮羽(うきは)の里へ。「うきは」に「うきは」と振り仮名を振られた律儀な駅名標に迎えられ、レトロな木造駅舎を出れば、空はからりと冬晴れ。お目当ては、酒蔵「いそのさわ」の蔵びらきだ。巨大な仕込みタンクを背に、テントと屋台がずらりと並び、朝からすごい人出。搾りたての生原酒と限定酒を買い、おでんをつまみにプラカップでちょい飲み——これがもう、たまらない。日向ぼっこする蔵の看板猫まで、のんびり幸せそうだった。
ほろ酔いの足で賀茂神社へ。参道の石柱にちょこんと乗った白い鳥の像が、なんともかわいい。手をあわせて、お昼は「うどんの天水」で名物のやわやわうどん。こしよりもやわらかさ、あたたかい出汁にじんわり癒される。田んぼの畦にはもう青い芽——「この雑草みたいなの、麦かね?」なんて言いながら、春の近い筑後平野をのんびり歩いた。
午後は鉄道とバスの旅。「夜明(よあけ)」という縁起のいい名前の駅から、話題のBRT「ひこぼしライン」に乗りかえる。星をあしらった車体のバスは、豪雨で不通になった日田彦山線の生まれ変わりだ。英彦山のふもと、赤い天狗がにらむ道の駅歓遊舎ひこさんで買い物をして、後藤寺線へ。そびえ立つセメント工場の足もとを、クリーム色のキハ40がコトコトやってくる——昭和の気配の残る、味のある一枚だった。田川を抜けて福岡へ戻り、しめは味噌仕立てのもつ鍋。ニラとキャベツをたっぷり、最後は麺を投げ入れてツルツルと。新酒と鉄道と鍋で満たされた、冬のまんなかの一日だった。
BRT「ひこぼしライン」
2017年7月の九州北部豪雨で、日田彦山線の添田〜夜明の区間は鉄橋や線路が流され、長く不通になっていた。鉄道での復旧は断念され、2023年8月、バス高速輸送システム(BRT)「ひこぼしライン」として生まれ変わった。一部は鉄道の廃線跡を舗装した専用道を走り、彦星(ひこぼし)と織姫の七夕伝説にちなんだ星のロゴが車体を飾る。JRの列車から、よりによって「夜明」という駅でこのバスへ乗り継ぐのが、なんとも粋だ。
蔵びらきの季節
冬から早春は、その年の新酒がしぼられる、酒蔵のいちばんにぎやかな時期。多くの蔵がこの頃に「蔵びらき(蔵開き)」を催し、搾りたての生原酒や限定酒の量り売り、振る舞い酒、屋台でにぎわう。軒先に吊るした杉玉(酒林)が青々としていれば、新酒ができあがった合図だ。うきはの「いそのさわ」も、見上げるほどの仕込みタンクを背に朝から客でごった返し、プラカップ片手の笑顔があちこちにあった。