新幹線で三原へ 神明市と城跡めぐり
福岡から新幹線で東へ。車窓はしばらく雪景色だったのに、三原に着けばホームは乾いていて、ちょっと拍子抜けする(´・ω・`)。駅のすぐ裏が三原城跡——新幹線のホームに直結した城なんて、全国でもそうそうない。神明市の屋台はまだ準備中だったので、先に対岸の新高山城(にいたかやま)へ。雪と凍った岩に前歯を折らないかとビクビクしつつ登ると、本丸跡から沼田川の谷と雪化粧の山なみがひらけて、のぼった甲斐があった。小早川隆景がこの山上に六十もの郭をかまえた、続日本100名城の山城だ。
下山して駅へ戻ると、神明市はいよいよ本番。だるまと植木の屋台がずらりと並び、寒風のなかでも人がぞろぞろ。見あげれば、屋台の向こうに日本一を名のる大だるまがどーんと鎮座している。神明だるまくじを引いて——当たったのはコットンバッグ(´・ω・`)。それでも腹は減る。世羅牛の牛すじ煮込みはホロホロで梅のような酸味、安芸津のタコ天はサクサク、小西豆腐店の豆腐ドーナツはホカホカ、ローカルインドのチキンティッカは謎の赤さで(゚д゚)ブチウマー。今日はスゴい食欲だ😋。
腹ごなしに西国街道をぶらり。茅の輪の立つ三原八幡宮にのぼれば、町も新幹線もよく見える。朱い鳥居がつらなるミニ伏見稲荷のような大島神社にも手をあわせた。赤だるまハイ(紫蘇味)で一杯やってから、夕暮れの尾道へ。新しくなった駅舎、三本つづく商店街を抜けて、脂の甘い尾道ラーメンをすする。宿の風呂は湯がはっておらず(´;ω;`)、近くの栗原温泉で二往復、ポカポカになって夜道をかえった。
三原神明市(だるま市)
毎年二月、三原の町なかに立つ、備後路に春をつげる市(いち)。もとは「だるま市」と「植木市」に端を発し、いまは数百の屋台が通りを埋める大きな祭りになった。主役はもちろん朱いだるま——七転び八起きの縁起物で、赤には魔除けの意味がこめられている。三角のくじを選ぶと係の人がその場でカットしてくれる「神明だるまくじ」も名物で、景品にはお酒まである。大きな市のわりに立派な神社があるわけではなく、小さな本殿にペコリとお参りして、あとはひたすら屋台を食べ歩くのが正しい楽しみ方らしい。
尾道の坂と寺社めぐり 新尾道から帰福
朝ごパンを買いに行ったら、めあてのパン屋が潰れていた(´;ω;`)。気をとり直して別のオシャレなパン屋・航路へ。焼きたての塩バターベーグルに、尾道産アーサイをのせた一枚とクイニーアマン。腹ごしらえをすませたら、坂の町のはじまりだ。細い路地と石段をたどって山の上へ。尾道城跡キタ━━!! といっても天守はとうに解体され、いまは展望台と、ぽつんと残された鯱(しゃちほこ)だけ。ガラス張りの展望台には迷い込んだメジロちゃんが壁にぶつかっていて、なんとか救出——あったかくて軽くて、フワフワだった。
千光寺山頂のシャレこいた展望台から瀬戸内を見わたし、千光寺でポンポンと鐘を鳴らす。猫の細道は、カフェのほとんどが眠ったまま、半分廃墟のような静けさ。福石猫の丸い石が並ぶのに、肝心の生きた猫には会えなかった🐾。坂と寺と猫の町を、ひたすら上ったり下りたり。浄土寺の奥之院まで登ると、大岩の上からの眺めは——なるほど、尾道でいちばんかもしれない。番所跡まで降りてきて、ようやくお昼、ライスグラタンのハンバーグのせ💕。
足の裏がむけそうに痛いのをこらえ、御袖天満宮から西國寺へ。参拝客はひとりもいなかったけれど、甍(いらか)の向こうにひらける眺めは悪くない。竹村家別館の日帰り湯でちゃぷっと温まって、はじめて使う新尾道駅から帰路につく。尾道のクラフトビール——レモンチーズケーキに八朔、カカオ……イロモノばかり買ってしまったけれど、「くろねこカカオ」がいちばん好みだった。博多に着いて、混みあう駅でリンガーハット。暖かくなったら、しまなみ海道を走りにまた来ようねぇ。
坂と寺と猫、尾道三部作の町
尾道は、海にせまる山の斜面に寺と家がびっしり張りつく「坂の町」。千光寺山からの眺めは尾道きっての絶景で、ふもとには国宝の本堂と多宝塔をもつ浄土寺、真言宗の古刹・西國寺など、古い寺がいくつも点在する。山腹の細い路地「猫の細道」には丸い石に描かれた福石猫や招き猫がそこかしこに置かれ、猫を探して歩く人が絶えない。大林宣彦監督が故郷のこの町で撮った『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』は〈尾道三部作〉と呼ばれ、坂と路地と海の風景は今も映画のなかそのままだ。