黒崎・八幡から小倉へ 節分のお多福門巡り
旅のはじまりは黒崎駅。改札そばには鳥居を模した「おみくじロボット」——あいにくメンテ中だったけれど、縁起をかつぐ一日にはふさわしい出迎えだ。まだ雨は落ちてこない。岡田宮をのぞくと、さっそく第一おたふく発見! 鳥居いっぱいに大きなおかめの面がかかり、にっこり笑って待っている。その口をくぐれば、今年の福はいただきだ。境内には赤や緑の鬼がうろうろ——入口で豆を買って、鬼にぶつけるという趣向らしい。長崎街道の名残・曲里の松並木を抜けるころには、台風並みの北風が吹きつけてきた。歩きながらほおばったシロヤのサニーパンは、練乳の量が尋常じゃなくて甘ウマカー。
バスで八幡へ。雨が降ってきた(´・ω・`) 駅前に立つのは復興平和記念像——このあたりは八幡大空襲で焼け野原になり、小伊藤山の防空壕では三百人もの命が失われたという。天を仰ぐ母と子の像に、まちの祈りがこもる。お目当ては「八幡のチャンポン」。ふつうのチャンポンかと思いきや、麺の上にどんとカツが乗り、炒め短めでキャベツの歯ごたえが強い独特な一杯。辛みそで味変しながら(゚д゚)ウマカー。雨脚がひどくなるなか、八坂神社でこの日ふたつめ=ラストのお多福門をくぐる。楼門にかかる巨大な福の顔を赤鬼と青鬼がはさみ、節分祭の幟がはためいていた。
土砂降りに追われて小倉へ。雨の日でもミュージアムの多い北九州はありがたい。堀ごしに小倉城を望み、平和のまちミュージアムへ——小倉には大きな造兵廠があり、じつは原爆投下の第二目標だった。天気が悪くて助かった、とは複雑な話だ。あるあるCityの漫画ミュージアムでは、小倉ゆかりの松本零士のキャプテンハーロックが出迎える。展示はほどほどに、五百円で蔵書が読み放題の閲覧コーナーは大にぎわい。しめは駅ちかの鉄なべで、カリカリの一口餃子と、小倉名物のじんだ煮(ぬか炊き)。二人前の餃子はあっという間、これは無限に食える。福もお腹もいっぱいで、節分の一日を閉じた。
お多福門(おたふくもん)とは
節分になると、神社の鳥居や楼門に大きなお多福(おかめ)の面を掲げ、その開いた口を参拝者がくぐり抜ける——北部九州でよく見られる縁起かつぎ。おかめの福々しい笑顔の中を通ることで厄を払い、一年の福を呼びこむとされる。博多の櫛田神社のものが有名だが、北九州でも岡田宮や八坂神社など、あちこちの社に現れる。頭から笑い口へ突っこんでいく姿はどこか滑稽で、見物人も思わずにっこり。節分らしく、境内では鬼に豆をぶつける豆まきもにぎやかに行われる。
じんだ煮(ぬか炊き)
小倉に伝わる郷土料理。古くからぬか床(じんだ)を使う食文化が根づいた土地で、青魚をぬかと醤油・砂糖などでことこと炊いたもの。汁気が少なく、ぬかの発酵した風味がきいた、ちょっと変わった鯖の味噌煮のような味わいで、ご飯にも酒にもよく合う。鉄なべといえば、一口サイズをカリッと焼いた小倉の鉄なべ餃子が名物だが、こうした地の肴とあわせてこそ、まちの食の奥行きが見えてくる。