諫早のうなぎと太良竹崎、鹿島泊
年明けの体に喝を入れようと、南へ向かう。車窓にはなぜかバルーンがいくつも浮かんでいた。諫早に着いて、まずは諫早神社で遅ればせの初詣——ペコリペコリパンパン、今年もいい年になりますように。諫早公園の眼鏡橋は、川から公園に移された堂々たる石の二連アーチで、水面に映るとほんとうに“眼鏡”に見える。商店街ではご当地キャラだらけの看板に出迎えられ、まちのあちこちに、鯛を抱えたえびすさんと石敢當が立っていた。
そして、お目当ての諫早うなぎ。焼物の器にうなぎとひたひたのタレが入っていて、おひつのご飯にのせ、スプーンでタレをかけて食べる——蒲焼きというより“煮うなぎ”、タレが染み染みで🍚を食うためのうなぎだ。もちろん🍚はおかわり自由(´・ω・`) デザートの水羊羹まで、さっぱり美味かった。
午後はバスで海沿いを太良へ。小長井では🍓🍈🍉🍅のフルーツ型バス停がずらり並び、オブジェの多い町だこと。霞む雲仙を横目に竹崎へ着き、城址展望台から有明海を見晴らす。山の上の竹崎観世音寺から港までは石畳がずーっと続いて、その先は漁船のならぶ“🦀の港”。祐徳バスで鹿島へ渡り、夜は割烹中央へ。上品なちゃんぽんに、有明海のワラスボ、竹の園の熱燗——ちょうどいいお燗具合で、これが割烹クオリティかと、ち○ん○ん汁まで飲み干した。
諫早のうなぎ
長崎・諫早のうなぎは、焼物(有田焼など肥前の陶器)の器に盛るのが特徴。せいろ蒸しの陶器版かと思いきや、器に入るのはうなぎとひたひたのタレだけで、ご飯は別のおひつから。タレをたっぷり吸わせて食べる“煮うなぎ”に近い一杯で、ご飯のおかわりは自由だ。筑後川と有明海が育てた川魚食の文化が、長崎らしい焼物の器とともに受け継がれている。竹崎のある太良側では、名物の竹崎ガニ(ワタリガニ)も冬の楽しみ。
肥前浜のふなんこぐい市と帰宅
翌朝は寒さで目が覚めた🥶 まだ暗いうちに肥前浜へ。酒蔵通りの白壁がつづく宿場町で、年に一度の「ふなんこぐい市(ふな市)」がひらかれていた。一斗缶の火を囲んで待つ人の列。奥から歩いたら、やっているのは入口のほうだけで、思ったよりこじんまり。
生きた鮒を売る業者は一軒だけで、みんな2㌔3㌔と買っていく——庭の池で飼うために来た人もいた。ふなんこぐい(鮒の昆布巻き)を売る店でひと口試食。味は、ちょっと生臭い昆布巻き…? 所詮は鮒、とツッコみつつ、イワシの昆布巻きも横目に見て、できあいを一折買って午前のうちに福岡へ帰った。うなぎに始まり、鮒に終わる、冬の有明の二日間。
ふなんこぐい
佐賀・鹿島の有明海沿岸に伝わる郷土料理。ぶつ切りにした鮒を昆布で巻き、大根やごぼうと一緒に甘辛く長時間炊いたもので、正月や祝いの膳に並ぶハレのごちそうだ。肥前浜宿の酒蔵通りでは一月に「ふな市」が立ち、生きた鮒やできあいのふなんこぐい、こぶ巻・蒲鉾が並ぶ。有明海は干潟と淡水の混じる独特の内海で、鮒やワラスボ、ムツゴロウなど、ほかでは見ない魚を食べる文化を育ててきた。鹿島は九州屈指の酒どころでもあり、市の舞台となる酒蔵通りには仕込みの季節の香りが漂う。