大木町の道の駅と、久留米・大善寺玉垂宮の鬼夜
旅のはじまりは福岡のうどん屋さん。ずっと気になっていた白いカレーうどんは、限定メニューでもう終わっていた(´・ω・`)。それでも温かい一杯で腹をあたため、三潴郡の大木町へ。水路(クリーク)が網の目のように走るこの町のもうひとつの名物は、きのこ。道の駅おおきでは、ポットに生えたきのこを自分でボキボキもぎとって買い、ポットは返す――という愉快な売り方をしている。きのこ頭のブロンズ像に見送られ、天然温泉アクアスを横目に、いよいよ夜の本番へ向かう。
久留米市大善寺町の玉垂宮に着くころには、雨とも雪ともつかない水滴が舞い、寒さに((((;゚Д゚))))ガクガク。鳥居の先の境内には、これから燃やされる長さ十数メートルの大松明が六本、横たわって出番を待つ。はしまきに綿あめ、夜店はお祭りムード全開。たこ焼きをほおばりつつ、始まるまでは予習ビデオで行程のおさらい。鬼夜の「鬼」は、実は神様。氏子の厄を一身に集めて鬼の姿となり、炎で身を清める――そんな意味がこめられた神事なのだと知る。
やがて境内の照明も夜店の灯りもスマホの光も、すべて消えて闇に沈む。そこへ大松明が点火――締め込み姿の男たちが松明によじ登ってロープを切り、燃え進むのに合わせて竹の棒で支えをずらしていく。絶え間なく打ち鳴らされる太鼓と鐘。火の粉が雨のように降り、本殿まで燃えうつりそうで心配になるほどの迫力だ。六本の松明が本殿横へ移り、楼門をくぐる……その最後までは見届けられず、終電の時間で後ろ髪を引かれつつ退散。翌未明、火薬のにおいを連れて帰り着いた。
鬼夜(おによ)とは
久留米市の大善寺玉垂宮で、毎年一月七日の夜に行われる火祭り。千六百年あまり続くと伝わり、「日本三大火祭り」のひとつに数えられ、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。見せ場は、長さ十数メートル・重さ一トンを超える六本の大松明。これに火が入ると、締め込み姿の氏子たちが「オイサ、オイサ」と担ぎ、境内をめぐる。炎の喧騒の裏では、灯りを消した闇のなかで“鬼”の神事が同時に進む――この鬼は祓われるべき悪ではなく、人々の厄を一身に集めて清める神なのだという。収穫後の稲むらを焼く小正月のどんど焼き(福岡でいう「ほんげんぎょう」)とも通じる、火で年の穢れを焼きはらう行事だ。