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百済の里と西都・佐土原 師走の宮崎
MIYAZAKI · 2024 師走

百済の里と西都・佐土原 師走の宮崎

山奥に亡命した王の記憶と、冬至のゆず湯へ。

2024.12.21 ▶ 12.22

Days2日間
Dist約413km
Area宮崎
Top最高 349m

師走の宮崎へ。福岡を朝に発ち、たどりついたのは県北の山奥、美郷町南郷。ここには、唐に滅ぼされた百済の王が亡命してきた——そんな伝説の残る「百済の里」がある。神門神社に手を合わせ、奈良の正倉院を設計図どおりに再現した「西の正倉院」と、韓国の職人が極彩色に塗りあげた「百済の館」をめぐる。

陸の孤島のそのまた山奥、観光客もまばらな里で、冬至のゆず湯にぬくもった。二日目は打って変わって、新富・西都・佐土原と宮崎平野の町をつなぐ。都萬神社のイチョウ、うなぎの竹定食、佐土原名物の鯨ようかん、山城跡、そして大淀川のほとりで釜揚げうどん。古代史のロマンと、ありふれた町の滋味を味わった、冬の二日間。

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DAY 1 · 12.21

日向から南郷へ 百済の里と西の正倉院

朝の福岡を発って、たどりついたのは日向市。もうお昼で、ここから先は路線バスの旅だ。道の駅東郷でバスを乗り継ぎ、山あいの道をぐんぐん分け入って、美郷町南郷へ。「やっとついた、さすがに朝鮮は遠いな」——そう軽口をたたきたくなるほど、奥へ奥へと入っていく。この里には、唐に滅ぼされた百済の王が海を越えて亡命してきた、という伝説が残る。

まずは神門神社にペコリ。そのとなりに建つのが「西の正倉院」——奈良の正倉院の設計図どおりに再現した、本気の校倉造だ。巨木を全国から探し、専門家を口説き、建築基準法の特別許可まで取った執念の建物で、中には唐代から室町にかけての鏡がずらり。バス停の名にもなった「百済の館」は、韓国から職人を招いて塗りあげた極彩色のきらびやかさで、山里にふいに異国があらわれる。

冬至のこの日は、南郷温泉山霧でゆず湯に。ぬるすべのいいお湯で、休憩の広間も食事処もあるのに、不思議なくらい空いている。チャンポンで腹を満たし、終バスで来た道を引き返す。日向市にもどって、隈研吾の手がけた駅や市役所をちらりと眺め、鉄道で新富町へ。冬至の宮崎は、南国のくせに風が刺さるほど寒かった。

移動 約268.1km / 獲得標高 331m

西の正倉院と百済王伝説

美郷町南郷に伝わるのは、660年に唐・新羅に滅ぼされた百済の王族が、海を渡ってこの山里に逃れてきたという伝説。神門(みかど)神社にはゆかりの宝物が伝わり、ふたつの集落のあいだを行き来する「師走祭り」がいまも残る。「西の正倉院」は、神社に伝わる銅鏡が奈良・正倉院の御物と同型だったことを縁に、正倉院を設計図どおり原寸再現した施設。檜の巨木を全国から集め、建築基準法の特別許可を得て建てられた、校倉造のまぎれもない本気の建築だ。

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DAY 2 · 12.22

新富・西都・佐土原から宮崎市へ

二日目は宮崎平野を南へ。せっかく新富町に泊まったので、まずは新田原(にゅうたばる)基地をのぞく。日曜の朝に飛ぶはずもないが、「新」を「ニュー」と読ませる地名のアメリカかぶれ具合がおかしい。真新しい直売所や、ポップがいちいちふざけたスーパーをひやかして、鉄道で西都へ。古墳群で知られる古都は、町かどに埴輪がちょこんと立つ。日肥線になるはずだった妻線の跡が、市街のど真ん中に長い駐車場となって眠っていた。

都萬(つま)神社は、師走だというのにイチョウがまだ色を残していて、さすが南国。日本酒発祥の地を名乗る古社で、境内には気根をまとった大楠がどっしり枝を広げる。バスターミナルのそばの本部うなぎ屋で、今年最後のうなぎ——竹定食。香ばしくカリッと焼いた蒲焼に濃いめのタレ、柳川風なべ、プリプリのキモ、素朴なご汁。身も心もぽかぽかになった。

佐土原へ渡れば、名物は本日限りの鯨ようかん。鯨が入っているわけではなく、形が鯨に似ているからその名だとか。町には🐋のシャッターアートがあちこちに描かれていた。資料館で神代独楽の回し方を教わり、背後の山をのぼって佐土原城の本丸跡へ。地元のじいさんに「こんな城のどこがよか」と絡まれつつ下山した。しめは宮崎市で釜揚げうどん。大淀川が街のまん中をゆったり流れる、この景色がたまらなく好きだ。暖かい車内で鯨ようかんをほおばりながら、福岡への帰路についた。

移動 約144.5km / 獲得標高 317m

鯨ようかんと佐土原

佐土原は江戸期、島津家の分家・佐土原藩の城下町として栄えた土地。名物の「鯨ようかん」は、鯨が入っているわけではなく、形が鯨に似ていることからその名がついたとされる。餅生地であんを挟んだ素朴な銘菓で、賞味期限は基本その日かぎり。町なかには鯨をモチーフにしたシャッターアートが点在する。背後の山には中世山城の佐土原城跡があり、ふもとの資料館「鶴松館」では、くるくるよく回る郷土玩具・神代独楽の回し方を教えてもらえる。