どーんとかがし祭のわら細工と田主丸の河童巡り
福岡マラソンでランナーがあふれる日曜の朝。地下鉄にゆられて博多を離れ、まずは「いも子屋」のおにぎりとサンドで腹ごしらえ。回鍋肉の海苔むすびという変化球に、旅のスイッチが入る。目指すは筑前町・安の里公園、稲刈りの終わった田んぼの真ん中に立つという巨大わら細工だ。
あぜ道を歩いていくと、川の向こうに金色の影がぬっと現れた。ゴジラーゴジラー……近づくほどに大きくなる、わらで編まれたゴジラ。見上げれば背びれも牙も爪もわら細工、青い目をらんらんとさせて吠えている。地元の若者会がひと冬かけて編み上げた世界記録の一体で、お肌の綺麗なゴジラだとみんなで笑う。足もとには、ゴジラにやられて横たわった去年の「わらの大仏」が、おだやかな顔で転がっていた。
甘木でコミュニティバスを乗り換えて、こんどは河童のまち・田主丸へ。カッパタウンの橋という橋のたもとに、石の河童が座っている。雨乞いの「祈り河童」、家を守る「守護神河童」、交通安全の「まんだら河童」、水害よけの「28河童」——みんなちがう願いを背負って、川をのぞきこんでいる。道の駅くるめをのぞき、色づきはじめた柳坂の櫨並木へ。櫨は木蝋の原料になる木で、枝いっぱいに実をつけ、葉を赤く染めかけていた。
そして筑後といえば、だご汁か——いや、今日はラーメンと見せかけて「中華うどん」。和風スープにごぼ天をどんとのせた一杯は、紅生姜がいいアクセントで、ラーメンより好きかもしれない。しめはムツゴロウの形をしたむっちゃん万十「とんとん」。外はカリッ、中は角煮がトロッ。雨の強まる久留米駅から、おみやげを抱えて帰路についた。
大わらかがし
筑前町・安の里公園の秋をいろどる、巨大なわら細工のオブジェ。稲刈りのあとに出る大量の稲わらを編み上げ、毎年ちがうテーマの巨像をこしらえる。2016年のシン・ゴジラにはじまり、龍、零戦、宇宙戦艦ヤマト、ゴリラ、ティラノサウルス、そして2023年の「わらの大仏」……と歴代作がならぶ。2024年はゴジラ生誕70周年にちなんだ一体で、現地の掲示によれば大きさは世界記録級。地元の「筑前若者会」が手がける、田んぼの巨神だ。
河童のまち・田主丸
筑後川のほとり、ぶどう「巨峰」発祥の地としても知られる久留米市田主丸町は、古くから河童伝説が色濃く残る「河童のまち」。町なかには個性ゆたかな石像の河童が点在し、橋のたもとや軒先ごとに「祈り河童」「守護神河童」「まんだら河童」と名前と役割がつけられている。雨乞い・豊作・水害よけ——水とともに生きてきた土地ならではの、水神さまへの願いがこめられている。