福岡から大分・日田へ前泊
金曜の夜、福岡から大分・日田へ前のり。明日はいよいよ登山デビュー、それもいきなりの縦走だ。
ホテルの一室で、イカリ豆をぽりぽり、いいちこをくいっと。「いいちこがあるから大分やな」——外は静かな夜、頭のなかではもう牧ノ戸峠の登り坂を思い描きながら、早めに眠りについた。
牧ノ戸から久住連山を縦走、別府経由でフェリーで八幡浜へ
早起きして、あさごぱをしっかり。バスで牧ノ戸峠へ移動し、0930、いよいよ「くじゅう」へ踏み出す。最初の登りは急だけれど、あとは岩場がちょいちょい——天気はいいのにガスっていて、妙に蒸し暑い。足もとにはミヤマキリシマが、ちらほらと咲きはじめていた。
久住別れを越えて、1112、久住山に登頂~!! そこから稲星山、1230には九州本土最高峰・中岳(1791m)、さらに天狗ヶ城。ピークを踏むたびに視界がひらけ、御池の火口湖を見下ろす尾根道が、どこまでも続いていく。縦走路を折り返し、下山してレストハウスのソフトクリームで、火照った体をひんやりチャージした。
バスで由布院へ下り、正面に由布岳を見ながら相変わらずの人出をかき分けて大分へ。駅前の大きな電動こけしに迎えられ、別府ではお湯のいい温泉でさっぱり。とんかつで白米を染み渡らせたら、旅情の残る別府港から夜のフェリーに乗りこむ。「船が出るぞぉぉぉ!」——真夜中の海を渡って、四国・八幡浜へ上陸した。
くじゅう連山と九州本土最高峰
大分県の中央にそびえる火山群で、「九重山」「久住山」と書き分けられるが、まとめて“くじゅう”と呼ばれる。主峰・久住山のほか、稲星山・天狗ヶ城などの峰が連なり、なかでも中岳は標高1791m、九州本土の最高峰だ(屋久島の宮之浦岳より低い、という“本土”の但し書きがつく)。五月下旬〜六月はミヤマキリシマが山肌をピンクに染めることで名高いが、年によって見頃はずれ、この日はまだ蕾が多かった。牧ノ戸峠からの道は人気の入門コースで、韓国からの登山客の姿も目立つ。
南予から佐田岬、フェリーで佐賀関を経て福岡へ帰宅
スーパーホテルの朝ごはんでエネルギーチャージ。足の指に水ぶくれができたので、今日はあまり歩かず、貸切のような予讃線で南予をめぐる。宇和では田んぼの向こうに「わらマンモス」——藁を積んだわらぐろが、巨大な象の親子に化けていた。卯之町では、新しくなった駅から文化の里の古い町並みをぶらり歩く。
三瓶へ下りて、名物のじゃこ天♥ 揚げたてではないけれど、透きとおった海をバックにほおばれば、噛むほどに旨味がじゅわじゅわ染み出す。河内晩柑を買いこみ、八幡浜へ戻って佐田岬半島ミュージアムへ。牛鬼やオショロブネの郷土史をのぞき、お昼はちりめんドン!!——温玉がトロトロで、ごはんが止まらない。
堀切大橋のそばを抜けて三崎港へ。「船が出るぞぉぉぉ! さらば四国よ」。国道九四フェリーのデッキから、日本一細長い佐田岬半島の尾根を見送る——尾根にずらりと並ぶ風車の、そのさらに先が岬の突端だという。やがて大煙突を目印に佐賀関が近づき、九州上陸。締めは、佐賀関名物・鯛のりゅうきゅう丼。大分経由で、濃い三日間を福岡へ持ち帰った。
りゅうきゅう丼と佐賀関
豊後水道にのぞむ佐賀関は、速い潮に鍛えられた「関アジ・関サバ」で知られる漁師町。その郷土料理が、新鮮な魚の切り身を醤油・酒・みりんのタレとゴマ・薬味で和えてごはんにのせる「りゅうきゅう丼」だ。名前は沖縄とは関係なく、沖縄の漁師に漬け方を教わった説などが語られる。坂本龍馬も勝海舟も海を渡って立ち寄ったと伝わる土地で、鶴崎から佐賀関へ抜ける道は「伊予街道」と呼ばれた。海をこえた先に四国・愛媛があるのを思うと、この一杯がいっそう旅の締めにふさわしい。