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海をこえて、釜山・蔚山へ
BUSAN · ULSAN · 2024 はる

海をこえて、釜山・蔚山へ

赤いクイーンビートルで渡り、夜のフェリーで帰る、はじめての海外。

2024.4.27 ▶ 4.30

Days4日間
Dist約659km
Area福岡・釜山・蔚山
Top最高 318m

ゴールデンウィーク、博多港から真っ赤なクイーンビートルに飛び乗って、海のむこうの釜山をめざす。パスポートを握りしめての、はじめての海外。対馬をかすめ、日本海の青にビビりながら、三時間半で大陸の玄関口・釜山港に上陸した。

高層ビルがにょきにょき立つ海雲台、坂と階段の壁画村、加藤清正の倭城がのこる蔚山、湯けむりのチムジルバン、そして市場の熱気。ハングルに囲まれて右往左往しつつ、交通カード一枚でどこへでも行けるこの街を、日本とそう変わらない感覚で歩きまわった。帰りは夜の関釜フェリーに揺られて、関門海峡から下関へ——海でつながる、濃密な四日間の記録。

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DAY 1 · 04.27

博多港からクイーンビートルで釜山へ、海雲台

旅のはじまりは博多港国際ターミナル。出国審査を抜けて乗りこむのは、特急ひのとりを思わせる真っ赤な高速船クイーンビートル。自転車ごと乗りこむ人もいる国際航路の船内で、祖国に乾杯して出港を待つ。

海の中道、志賀島、小呂島を見送り、対馬を防波堤に凪いだ日本海をすべっていく。電波はぎりぎり届き、青い海にビビっているうちに、三時間半で釜山港入港。釜山港大橋をくぐって接岸すれば、ユーラシア大陸デビューだ。

まずは釜山駅のカレーで腹ごしらえ——なぜか胡麻のかかった一杯で、ここまでの無事を祝う。地下鉄と東海電鉄線を乗り継いで海雲台へ。砂浜のすぐうしろに高層ビルが林立する景色に目をみはり、日が暮れてからは坂道の展望台と壁画村へ。階段だらけの街にひろがる夜景は、長崎よりも立体的かもしれない。

移動 約254.6km / 獲得標高 267m

クイーンビートル

博多と釜山を約3時間半でむすぶ、JR九州高速船の大型旅客船。オーストラリア建造の三胴船(トリマラン)で、真っ赤な船体が目をひく。波の影響を受けにくい設計で、対馬が防波堤になる海域では海面をすべるように進む。自転車をそのまま持ちこめるのも船旅ならでは。パスポートさえあれば週末でもふらりと海を渡れる——福岡だからこその距離感だ。

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DAY 2 · 04.28

釜山から蔚山へ、西生浦倭城と蔚山倭城

二日目は、海辺をさらに北の蔚山へ。まずは釜山の繁華街・西面で、24時間営業の松亭3代クッパへ。豚バラたっぷりのテジクッパに麺とニラをぶちこんでキタ━━!! ピリ辛だけど後をひかない、やさしい朝ごはんだ。

東海線で田舎めいた海辺の町・西生へ。目当ては加藤清正が築いた西生浦倭城。文禄・慶長の役の城がそのまま残り、石垣も天守台も堂々たるもの。侵略者の城を史跡として手入れし伝える懐の深さに、少し胸を打たれる。散り際の八重桜と、天守台を抜ける風が気持ちいい。近くの鎮下海水浴場ではトンボロの道が小島へのびて、ウィンドサーフィンのイベントで賑わっていた。

バスをつかまえて蔚山の中心へ。太和江にのぞむ太和楼は土足厳禁でタダで入れ、川風がびゅうびゅう吹き抜けて最高に気持ちいい。鯨の町らしい壁画、街路樹のヒトツバタゴの甘い香り、賑わうアーケード。蔚山倭城(鶴城公園)にも立ち寄り、ゴツいSRTで一瞬のうちに釜山へ。締めは釜山駅のビビンバを、銀のスプーンでまぜまぜしていただいた。

移動 約143.0km / 獲得標高 474m

倭城(わじょう)

文禄・慶長の役(1592〜98年)のさなか、朝鮮半島南岸に日本の武将たちが築いた日本式の城。西生浦倭城は加藤清正が手がけたとされ、総石垣の本丸や登り石垣など、当時の縄張りがよく残る。侵略の負の遺産でありながら、韓国では史跡として整備・保存され、日本語の解説板も立つ。石垣に腰かけてスケッチをしたり昼寝をする地元の人の姿に、歴史とのおだやかな距離感がにじんでいた。

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DAY 3 · 04.29

雨の釜山市内と温泉、夜の関釜フェリーで帰国へ

最終日は朝から雨。キムチでごはんを流しこみ、傘をコンビニで手に入れて街へ出る。釜山定番のチャガルチ市場は、天気のせいか観光客の姿もまばら。南浦洞の長い地下街をたどり、昭和の香りのするシャッター街を抜けていく。

雨やどりもかねて、温泉場駅の허심청(ホシムチョン)へ。ドーム天井の大浴場と、館内着で寝ころぶチムジルバン。70℃・50℃・10℃のドームを行き来する交互浴に、床暖房へ背中が吸いつく心地よさ——旅の疲れがじんわりほどけていく。

ふたたび釜田・草梁の市場をひやかして、いよいよ帰国。釜山港国際旅客ターミナルから乗りこむのは、関釜フェリー「星希」。日が暮れてライトアップされた釜山港大橋を見おさめに、21時、船はしずかに港をはなれた。また来るニダ、と胸のうちでつぶやきながら。

移動 約38.2km / 獲得標高 366m

関釜フェリー

下関と釜山を夜行でむすぶ、日本海をわたる国際フェリー。日本側では「関釜」、韓国側では「釜関(プカン)」フェリーと呼ばれ、日韓それぞれの船が一隻ずつ就航する。帰路に乗ったのは韓国船籍の「星希」。21時ごろ釜山を出て、翌朝には関門海峡をくぐって下関に着く——寝ているあいだに国境をこえる、のんびりとした船旅だ。高速で海面をすべる往路のクイーンビートルとは対照的な、ゆったりした時間が流れる。

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DAY 4 · 04.30

関釜フェリーで下関上陸、帰宅

船の朝。目がさめると、もう蓋井島のあたり。関門海峡に入れば、霧のむこうに小さな巌流島——武蔵と小次郎の決闘の島だ。やがて下関港に接岸して、ユーラシアからの帰還。肉を持っていないか税関の犬に嗅がれ、無事に日本の土を踏んだ。

小倉行きに乗りそこねて、新下関から新幹線で家路につく。パスポートを忘れかけ、出入国もエクストリームなスケジュールだったけれど、大きなトラブルもなく世界デビュー達成。海でつながった四日間、また逢う日まで。

移動 約36.4km