新宮から玄界灘沿岸を北上し門司へ
目覚ましを五時にかけたつもりが、鳴ったのは五時五十九分。朝ごはんのおにぎりも、モバイルバッテリーも忘れて、出だしからドジっ娘炸裂。それでも西鉄貝塚線にゆられて新宮へ着けば、もうそこはスタート地点だ。クロちゃんにまたがって、玄界灘の海岸線を北へこぎだす。
新宮の海は朝からきらきら、花見海岸はまっさらな砂浜を独り占め。宮地嶽神社の鳥居に手をあわせ、津屋崎千軒の古い町並みと酒蔵を抜ける。暑いくらいの陽気で、沿道の麦畑はもう青々、六月の気配だ。道の駅むなかたで天然あなご飯とイカフライをほおばり、鐘崎の織幡神社は玄界灘を見晴らす岬。すれ違った岬のにゃんこは、撫でると毛がもふもふ抜ける季節だった。
岡垣から芦屋へ、手入れの行き届いたサイクリングロードがどこまでも気持ちいい。遠賀川の河口をわたり、穴のあいた岩山・洞山をまわって若松へ。長閑な山の街をながめてから、洞海湾をフェリーでひとまたぎ。戸畑では、細麺の戸畑ちゃんぽんと肉感のある一口餃子を柚子胡椒で。日が暮れて、門司の——窓のないビジホに荷をほどいた。
道の駅むなかた
玄界灘にのぞむ宗像市にある、九州でも屈指の人気を誇る道の駅。地元で水揚げされた鮮魚や、宗像産の野菜・果物がところ狭しと並び、来場者数ランキングで九州トップクラスの常連として知られる。この界隈はコウイカ(甲イカ)の名産地で、津屋崎の魚屋にも並ぶ。すぐそばのさつき松原は、玄界灘ぞいに数キロつづく松の防風林。海の幸と潮風を、まとめて味わえる場所だ。
戸ノ上山に登り門司港・関門海峡を巡って小倉へ
窓のない部屋で目を覚ませば、今日もいい天気のはず。自家製ブルーベリージャムの朝食をいただき、クロちゃんは駐輪場に置いたまま、まずは歩いて山へ。登る前からもうこの景色、と笑っていたら、大台ヶ原の草はらで雲が切れて——景色しゅげぇぇ! 眼下の関門海峡を、護衛艦がゆっくり航行していくのが見えた。
標高五一八メートル、戸ノ上山に登頂。関門海峡がまるごと一望できる。下山して戸上神社に無事を感謝したら、門司港へ。赤煉瓦プレイスの現役レンガ、ニッカの門司工場、新型の遊覧船でにぎわう門司港レトロ。関門海峡の風はめちゃんこ強いけれど、気持ちいい。
採石場に道を分断され、遠回りの果てにたどり着いた部埼灯台。新門司港に並ぶフェリーを前に「このまま乗ってしまいたい」とこぼしつつ、海沿いを小倉へ。〆は、ぬか床で炊いたぬかだきに、焼き豚足、焼きうどん。国内最古参というモノレールに見送られて、旅はおしまい。ただいま。
戸ノ上山と関門海峡
門司の背後にそびえる標高五一八メートルの戸ノ上山は、本州と九州を隔てる関門海峡を一望できる展望の山。ふもとの戸上神社の奥宮が山頂に鎮座し、地元で古くから親しまれてきた。眼下の関門海峡は潮流の速い海の難所として知られ、行き交う貨物船や、呉・江田島へ帰る護衛艦の姿も見える。対岸の下関まではわずか数百メートル、関門トンネルの人道を歩いて県境をまたぐこともできる。