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勝山から倉吉へ、冬の白壁と湯けむり
OKAYAMA × TOTTORI · 2024 ふゆ 途中下車の旅

勝山から倉吉へ、冬の白壁と湯けむり

美作の酒蔵と大はんざき、山陰の蔵のまちへ。

2024.2.23 ▶ 2.24

Days2日間
Dist約315km
Area岡山・鳥取
Top最高 462m

二月の山陰路は、鈍色の空にときおり雪が舞う。開幕戦のチケットを横目に九州を脱出し、山陽新幹線とバスを乗り継いで岡山県真庭市の美作勝山へ。木で栄えた白壁の町並みに酒蔵の新酒、山芋づくしの銀沫定食、そして真賀・足温泉の湯めぐり——ぶらり途中下車の連休旅のはじまりだ。

ところが初日の夜、湯原温泉の砂湯で足をすべらせ、前歯を三本も折る大怪我。予定を切り上げ、翌日は蒜山から雪の峠を越えて鳥取・倉吉へ抜ける。円形校舎のフィギュアミュージアム、蔵よし川よしの白壁土蔵群、鉄道記念館をめぐり、スーパーおきに揺られて福岡へ帰った、ほろ苦くもおかしみのある二日間の記録。

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DAY 1 · 02.23

美作勝山散策と真賀・足温泉はしご、湯原温泉泊

開幕戦だし、と九州ダービーのチケットを気にしつつ、まずは天気のましな方へ——とりあえず九州脱出。山陽新幹線の混みようは九州新幹線の比ではない。岡山駅前の桃太郎像を横目に、バスに揺られて中国勝山駅に降り立つと、晴れてはいないが、それもまた山陰路らしい。

勝山の商店街は人影こそ少ないが、白壁の町並みに酒蔵が香り、新酒をひと瓶ゲット。木で栄えた町らしく、木地師の木皿が思いのほか安くて買い込んだ。お昼は銀沫(ぎんしぶき)という山芋のブランドを使ったとろろ尽くしの定食で、これがんまい。さらにバスで真賀温泉へ。底から湧いていそうな四人でいっぱいの小さな幕湯に、ぬるめでのんびり。はしごで足温泉にもちゃぷっと浸かる。

大はんざき(オオサンショウウオ)に対面。でかい、そしてどこかきゃわわ。雪のちらつく湯原ダムを越えて、今夜の宿は湯原温泉。……ところが露天の砂湯に入ろうとして足をすべらせ、岩に顔を打って前歯を三本折る大惨事。救急車まで来たが休日に口腔外科はなく、痛みをこらえて床に就く。旅の途中に、また一つ因縁の地が増えてしまった。

移動 約68.1km / 獲得標高 348m

オオサンショウウオ=はんざき

世界最大級の両生類で、きれいな渓流にすむ国の特別天然記念物。真庭のあたりでは古くから「はんざき」と呼ばれる——体を半分に裂かれても生きるという俗説が名の由来とも、大きな口が「半分裂けた」ように見えるからともいう。湯原には保護・展示をおこなう「はんざきセンター」があり、ぬうっと水底にたたずむ巨体を間近で見られる。夏には巨大なはんざきの山車が練り歩く祭りも開かれる、この土地の守り神のような存在だ。

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DAY 2 · 02.24

蒜山経由で倉吉観光、山陰本線で福岡へ帰宅

朝起きても歯はもとに戻らない。体調に変化がないのがせめてもの幸いだ。予定を切り上げ、本当は何日もかけて味わうつもりだった越県ルートを前倒しで行く。山の上には雪が残る蒜山を抜け、関金温泉でバスを乗り継いで鳥取・倉吉へ。「蔵よし川よし」の名のとおり、前歯があればもっと良かったのに、と笑うしかない。

古い円形校舎をまるごと使ったフィギュアミュージアムは、美少女より怪獣やロボット、動物が多めで、思いのほか見ごたえがある。渦を巻くらせん階段を見上げ、白壁土蔵群の小路をぶらり、レトロな銭湯建築に目を細め、ご当地キャラ「ひなビタ♪」があちこちに溶け込んだ町をゆく。倉吉線鉄道記念館では、勝山まで線路がつながっていたらと埒もないことを思う。

牛骨ラーメンを食べたくても、前歯がなくて麺がすすれない。地元のパンをかじり、お土産を抱えて特急スーパーおきに乗り込む。宍道湖、出雲、浜田——長い長い山陰本線の車窓に、鳥取の梨チューハイをちびちびやりながら、三連休だというのに早すぎる帰り道。それでも、歯だけで済んで命拾いした旅だったと、いまは思う。

移動 約246.9km / 獲得標高 202m

倉吉・白壁土蔵群

打吹玉川(うつぶきたまがわ)のほとり、玉川沿いに白壁と赤瓦の土蔵が連なる、国の重要伝統的建造物群保存地区。かつて陣屋町・商家町として栄え、石橋のかかる水路と格子戸の町家がしっとりと残る。古い円形校舎を再生したフィギュアミュージアムや、レトロな銭湯建築もこの一帯。近年はご当地音楽企画「ひなビタ♪」の舞台のモデルとして知られ、キャラクターのパネルが町のあちこちに溶け込んでいる。