廃線跡を歩いて城島酒蔵びらき、柳川泊
西鉄電車にゆられて久留米のさき、城島へ。いい天気だからこそ、よく冷える。筑後川の下流まで来ると山がぐっと遠のいて、まるで関東平野のよう——ヤッホーと叫びたくなる広い空の下、廃線跡をたどって酒蔵びらきの会場にたどり着いた。グルメに飲み比べ、酒の販売まで、まちのあちこちが祭りの会場になっている。
朝からまずは一杯。おでんと豆をつまみに旭菊で口をあたため、甘口の濁り酒に(●´ω`●)。拾いたての実を炒ったのや、志岐の蒲鉾、池亀の粕汁——つまみを渡り歩きながら、瑞穂錦の有料試飲、筑紫の誉、しめは杜の蔵。四合も空けて、もうすっかりいい気分だ。瓦工場では愛嬌のある瓦猫が出迎えてくれた。
朝は素直に流れていた川が、いつの間にか逆さに流れている。有明海の潮が満ちて逆流する感潮河川だ。帰りぎわ、三潴の駅でふわりといい匂い——応援に来た駅員さんも「珍しかとです!」と見とれる、蝋梅の花だった。日が暮れるころ柳川へ。今夜の宿は、庭のある元料亭。ほろ酔いの体を、しずかに横たえた。
城島酒蔵びらき
筑後川のほとり、福岡県久留米市の城島地区は、良質な水と米にめぐまれた知る人ぞ知る酒どころ。毎年二月、十前後の造り酒屋がいっせいに蔵を開く「城島酒蔵びらき」には、二日間で十万人規模の人出がある。各蔵のしぼりたてや限定酒の飲み比べ、粕汁や地元グルメの屋台が会場を埋め、無料・有料の試飲チケットで蔵から蔵へと飲み歩ける。九州は焼酎一色と思われがちだが、筑後は昔ながらの日本酒の国。賑わう会場を歩けば、その底力が伝わってくる。
柳川の水郷散策とうなぎせいろ蒸し、甘木温泉
二日目は水の都・柳川を歩く。まずは有明海の漁港へ。棒が無数に立ちならび、船には四角い小舟とそれを下ろすクレーン——海苔の養殖だろうか、見慣れない景色が面白い。朝の中島朝市は、おばあちゃんが数店ぽつぽつと。クツゾコ(舌平目)を売っていたけれど、生魚を一日持ち歩くわけにもいかず、ぐっとがまん。
まちなかへ入れば、網の目のように堀割が走る。道はわかりづらく、うっかりすると落ちそうな水辺も多いけれど、それがまた風情だ。ちょうど二月は雛まつりの季節で、まちはさげもん飾りに彩られていた。巨大なお多福面がにっこり迎える日吉神社を抜け、くもで網の張られた堀を、どんこ舟がのんびりと下っていく。低い石橋すれすれにくぐり抜けるのが、柳川の川下りの醍醐味だ。
そして、お待ちかねのせいろ蒸しキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 焼きとちがってタレに頼らず、うなぎの身のうまみがふっくら引き出されて、最後までほかほか。うーまーいーぞー。恵比寿さまの多いまちを抜け、しめにいちごのアイスでひんやりチャージ。午後は邪馬台国の里・甘木へ寄り道、泡付きのいい湯でぬるぬるにあたたまり、甘木鉄道にゆられて帰路についた。
柳川の川下りとせいろ蒸し
柳川は、立花氏の城下町として築かれた堀割のまち。総延長およそ六十kmにおよぶクリーク(水路)が市街を網の目に走り、どんこ舟に乗って船頭さんの歌を聞きながらめぐる「川下り」が名物だ。低い石橋の下を、乗客ごと頭を下げてくぐり抜ける。もうひとつの名物が、うなぎの「せいろ蒸し」。タレをまぶしたご飯にうなぎをのせ、さらに蒸籠でふっくら蒸し上げる筑後ならではの食べ方で、錦糸卵を散らした一枚は、最後のひと口までほこほこと温かい。