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伊勢志摩 朝熊山登拝と英虞湾クルーズ
ISE-SHIMA TRIP · 2023 あき

伊勢志摩 朝熊山登拝と英虞湾クルーズ

霊峰に登り、真珠の海を渡る。

2023.10.20 ▶ 10.22

Days3日間
Dist約261km
Area愛知・三重
Top最高 556m

名古屋の街に立つ「エッフェル塔」——もとい名古屋テレビ塔を見上げて、ふざけ半分に欧州気分をあたためてから、近鉄を乗り継いで神域・伊勢へ。きしむ廊下の古い木造旅館に腰を落ち着け、さめのたれに地酒で、旅のはじまりを祝う。

翌朝は、伊勢志摩の霊峰・朝熊山(あさまやま)を自分の足で登拝。丁石とお地蔵さんの道をたどって金剛證寺へ、風の強い山頂で海を見下ろす。下ってからはおはらい町でひみつビールと出世餅、内宮にお参りして、バスで志摩の海辺へ。リアス式の深谷水道、灯台のある岬、夕暮れの浜をめぐった。

最終日は英虞湾クルーズ。真珠を育てる静かな入り江を船で渡り、御座白浜の秋晴れにひたる。帰りは伊勢湾フェリーで海を越え、豊橋のカレーうどんで旅を締めた、海と山の三日間。

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DAY 1 · 10.20

名古屋から伊勢へ、古い旅館に投宿

旅のはじまりは名古屋。テレビ塔を見上げて「エッフェル塔かな」、県庁舎のいかめしい屋根に「花の都パリ」と、スレ民そろって欧州ごっこに興じる。実際は赤だしのとん汁でほっこりあたたまって、名古屋城の天守を横目に、松坂をへて伊勢をめざす。

日が暮れて伊勢に着く。今夜の宿は、ネット予約もできる古い木造旅館・星出館。軋む廊下に木の窓、他の客の話し声も筒抜けの、味わいぶかいお宿だ。さめのたれ、鶏レバ刺し、マトウダイの煮付け——三重の海の幸を肴に、地酒と伊勢角屋麦酒で乾杯して、旅の一日目を静かに閉じた。

移動 約98.6km / 獲得標高 53m

さめのたれ

伊勢志摩の郷土食で、サメの身を塩や味醂でひらいて干した保存食。身近な海でとれるサメを無駄なく食べる知恵から生まれ、クセは少なく、あぶって酒の肴にすると滋味がある。山がちで新鮮な魚の運搬がむずかしかった土地では、日持ちする「たれ」は貴重なたんぱく源として親しまれてきた。伊勢の人にとっては、懐かしい家庭の味でもある。

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DAY 2 · 10.21

朝熊山登拝と内宮参拝、志摩・鵜方へ

朝、近鉄で朝熊(あさま)へ。「朝、朝熊で熊に」なんて言いながら、朝熊岳道の登山口から登拝のスタート。丁石とお地蔵さんに見守られ、道ばたのきのこに目を留めつつ、杉木立の金剛證寺へ。見上げるような卒都婆がずらりと並ぶ供養林を抜けて、風の強い山頂にたどり着く。海も島も見渡せるけれど、とにかく寒い。

下山はバスで。おはらい町では、お参り前からひみつビールをぷはっと一杯、出世餅をほおばって。清流・五十鈴川のほとりから内宮に手をあわせたら、またバスに乗って志摩市の鵜方へ移動する。

まだ陽があるうちにと、海辺へ夕日を見に出る。英虞湾と太平洋をつなぐ深谷水道、コンコン様の片田稲荷、海女さんの伝説が残る麦崎の灯台……雲が厚くて夕日はお預けだったけれど、秋の海辺のどことない寂しさもまた味わいぶかい。夜は鵜方で、卵とろとろのこだわりカツ丼をたいらげた。

移動 約56.4km / 獲得標高 558m

朝熊山と金剛證寺

伊勢志摩国立公園の最高峰・朝熊山(朝熊ヶ岳、標高約555m)は、古くから伊勢の人々が登拝してきた霊峰。「伊勢に参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭に謡われ、神宮参りとあわせて詣でる習わしがあった。山上の金剛證寺は神宮の鬼門を守る寺とされ、奥の院へ続く道には、故人の供養に高さ数メートルの卒塔婆を建てる独特の風景が広がる。山頂からは伊勢湾と志摩の島々、晴れた日には富士山まで見渡せるという。

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DAY 3 · 10.22

英虞湾クルーズと御座白浜、帰路へ

三日目は快晴。朝の港町に「今日が始まる」空気がみなぎる。賢島からクルーズ船に乗り、真珠を育てる英虞湾をすべるように渡って、和具に上陸。志摩町をぶらついて、御座白浜へ向かう。

白い砂浜に、吸い込まれそうなほど青い海。金比羅山の展望台からは、入り組んだ入り江が一望できる。海の中に立つお地蔵さん(御座浦石仏地蔵尊)に手をあわせ、和具の食堂で焼き魚つきの天ぷら定食をがっつりたいらげた。

御座から賢島へ戻り、鳥羽から伊勢湾フェリーで海を渡る。三島由紀夫「潮騒」の島・神島を横目に、渥美半島の伊良湖岬へ。夕陽にそまる恋路ヶ浜の砂を踏んで本州にもどり、最後は豊橋名物のカレーうどん——とろろご飯の入った出汁カレーで、海と山の三日間をあたたかく締めくくった。

移動 約104.7km / 獲得標高 27m

英虞湾と真珠

いくつもの岬と入り江が複雑に入り組む、典型的なリアス海岸の英虞湾(あごわん)。波のおだやかな内海は、1893年に御木本幸吉が世界で初めて真珠の養殖に成功した地として知られ、いまも湾じゅうに真珠筏が浮かぶ。クルーズ船は、かつて御座や浜島まで結んでいたが、いまは便が減り、静かな入り江を和具へと渡る。リアスの地形は眺めには美しいが、湾の奥深くまで波が入りやすく、暮らしは海と隣り合わせだ。