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海の日の船旅
MARINE DAY · 2023 なつ · 船旅紀行

海の日の船旅

西伊豆から太平洋をこえて、塩竈みなと祭へ。

2023.7.15 ▶ 7.17

Days3日間
Dist約1035km
Area静岡・愛知・宮城
Top最高 260m

海の日の三連休。「海の日だから船に乗る旅よぉ」——そんな一言で、朝の沼津港に立っていた。この三日間、とにかく船に乗る。西伊豆の遊覧船、駿河湾を横断するフェリー、太平洋をまる一日かけて北上する長距離フェリー、そして祭りの神輿を運ぶ御座船まで。

「船がでるぞぉぉぉぉお!!!」の掛け声が、港を変えるたびにこだまする。静岡から名古屋をへて、海の上で一夜を明かし、たどり着いた先はまさかの東北・塩竈。ちょうど町は、神輿が海を渡る「塩竈みなと祭」の真っ最中だった。行き当たりばったりのようで、海の日にふさわしく海ばかりを巡った、まんぷくで濃密な船旅の記録。

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DAY 1 · 07.15

沼津から西伊豆遊覧、駿河湾フェリーで清水・名古屋へ

旅のはじまりは朝の沼津港。活気づく市場で海鮮丼をかきこみ、港のシンボル・大型展望水門「びゅうお」を見上げて、まずは千鳥観光汽船の遊覧船に乗りこむ。係留中からぐらぐら揺れて酔いそうな船だけれど、「船がでるぞぉぉぉぉお!!!」の掛け声とともに、西伊豆の海へ漕ぎだした。

船は大瀬崎をぐるりと回って戸田(へだ)へ。白い灯台と切り立った駿河湾の地形を眺めながら、車道でしかつながらない隔絶の港町に上陸する。無bus地帯を乗合ワゴンで土肥へ抜け、こんどは駿河湾フェリーで対岸の清水へ。あっという間の、気持ちのいい横断だった。

清水ではちびまる子ちゃんランドをのぞき、河岸の市でマグロと生しらすの昼ごドン。日が暮れて名古屋へ移り、円頓寺の商店街と四間道の渋い町並みをぶらり歩く。そして名古屋港から、いよいよ太平洋フェリーに乗船。名港西大橋をくぐって「さらばにゃごや」、船はそのまま北へ、夜の海へと出ていった。

移動 約409.0km / 獲得標高 346m

海の上の県道

清水と土肥をむすぶ駿河湾フェリーの航路は、じつは静岡県道223号——「223=ふじさん」の語呂にちなんで名づけられた、海の上の“県道”だ。船上からは富士山や断崖の海岸線を望める。2013年に民間撤退で存続が危ぶまれたが、県などが運航を引き継いで生き残った。自動車ごと渡れる日本で唯一の海上県道を、7キロほどの近道として横断する。

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DAY 2 · 07.16

太平洋フェリーで仙台へ、塩竈みなと祭前夜祭の花火

二等船室の、ゆるやかな朝。房総沖、犬吠埼、いわき沖、南相馬沖——窓の外をゆっくり流れていく海岸線を眺めながら、朝からインペリアルスタウトを開けてしまう。デッキは灼熱で出るのも無理、ひたすら太平洋を北上する船旅だ。すれ違う僚船との待機も、海の上ならではの時間だった。

夕方、仙台港に上陸。多賀城を経て塩竈へ向かうと、町はすっかり祭りの空気に沸いていた。今夜は塩竈みなと祭の前夜祭、花火大会。せっかくのお寿司は明日にまわして、まずは宿で部屋飲み。ホタテ飯と地酒「浦霞」で、祭りの夜に静かに乾杯する。

花火は会場より近くの高台が穴場——と踏んで登ってみれば、蚊の猛攻にあいながらも、目の前いっぱいに大輪が開いた。「たーまやー」。海の上で過ごした一日の締めくくりに、塩竈の夜空がぱっと明るく染まった。

移動 約416.5km / 獲得標高 3m

太平洋フェリー

名古屋と苫小牧を仙台経由でむすぶ長距離フェリー。「きそ」「いしかり」「きたかみ」の三隻が就航し、ラウンジショーやシアターをそなえた“動くホテル”として、フェリー・オブ・ザ・イヤーの常連でもある。名古屋発は隔日運航で、名古屋〜仙台はおよそ21時間。新幹線なら数時間の道のりを、まる一日かけて海からたどる贅沢な航海だ。

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DAY 3 · 07.17

塩竈みなと祭 神輿渡御と浦戸諸島クルーズ

祭り本番の朝。仲卸市場でオリジナル海鮮丼…とはいかず、まずはさぬきうどんで軽く腹ごしらえ。マグロの尻尾が次々と切り落とされていく、活気あふれる魚市場をのぞいてから、陸奥国一宮・鹽竈(しおがま)神社の長い石段を、汗だくになって登る。

石段の上で待っていたのは、鹽竈神社と志波彦神社の御神輿。ピーローリンッの演奏とともに、恐る恐る、けれど勇壮に石段を下りてくる。下まで来ると「がんばれ、がんばれ」の大合唱と拍手。神輿は港へ運ばれ、鳳凰丸・龍鳳丸という豪華な御座船に載せられて、供船を従えぐるりと松島湾へ出ていった。塩竈みなと祭の見どころ、海上渡御だ。

見送ったあとは、たわしも船へ。この旅三度目の乗船で、浦戸諸島をめぐる。桂島、野々島、石浜、そして寒風沢島。山百合の甘い香りがただよう、長閑(のどか)な島の夏。塩竈にもどって、評判の廻鮮寿司で光りものの握りや鮪のホシ焼きに舌鼓を打ち、海の日の船旅はしずかに幕を閉じた。

移動 約39.9km / 獲得標高 49m

塩竈みなと祭

1948年、戦災からの復興を願ってはじまった海の祭り。陸奥国一宮・鹽竈神社と志波彦神社の神輿が、急な表坂の石段を氏子にかつがれて下り、港から鳳凰丸・龍鳳丸という豪華な御座船に乗って松島湾を渡る「海上渡御」が最大の見どころだ。日本三大船祭りのひとつに数えられ、約百隻の供奉船が神輿船に続いて、夏の海をにぎやかに巡る。