← 一覧
新潟中越 見附のホタルと栃尾・長岡の自転車旅
NIIGATA CHUETSU BICYCLE · 2023 初夏

新潟中越 見附のホタルと栃尾・長岡の自転車旅

梅雨の晴れ間、ペダルをこいでホタルの水辺へ。

2023.6.24 ▶ 6.25

Days2日間
Dist約121km
Area新潟(三条・栃尾・見附・長岡)
Top最高 277m

六月の新潟中越は、梅雨の水をたっぷり含んで、どこもかしこもみずみずしい。田んぼは青く、あじさいは色づきはじめ、夜になれば水辺にホタルが舞う——そんな季節に、折りたたみ自転車で三条から山を越えた。

一日目は本成寺の山門をあおぎ、果物屋が本気で作るフルーツサンドにうなり、石川雲蝶の彫刻をたずね、水の流れる隧道を抜けて栃尾へ。油揚げと雁木の町をめぐり、老舗のアイスで涼をとって見附に泊まる。夜は、あやめの咲く水辺でホタルを待った。

二日目はあじさいの名所をはしごして、名水の町・三島でそうめんと天然の炭酸泉を味わい、長岡へ。火焔土器に見入り、花火ミュージアムで思わず涙ぐみ、背脂ラーメンでしめた、水とみどりの二日間の記録。

1
DAY 1 · 06.24

三条から自転車で栃尾を越え見附へ ホタル観賞

旅のはじまりは、えきねっとと モバイルSuica の大障害というまさかの幕開け。窓口でもクレカが通らず、ポイントは泣く泣くあきらめて、チャージ済みの🍉でなんとか三条へ。果物でも食べて気を取り直そう、とフルーツをほおばる朝だった。

三条にこんなに立派なお寺があったとは——本成寺の堂々たる山門に見あげる。一ノ木戸のカネギは果物屋が本気で作るフルーツサンドの名店で、ジューシーな果実に甘いクリーム、あんこと求肥の一本まで、これで三百円とは。石動神社では、お目当ての石川雲蝶の彫刻にうなる。のみ一本で躍動する人物たちだ。そのあと川のように水の流れる隧道を抜けて、山を越えた。止まると靴が濡れるほど路面が川で、完全にびびった。

栃尾では駅前食堂で懐かしい味の昼ごはん。名物のあぶらげは、注文したあとに壁のお品書きで気づいた。雁木のつづく町並みをぶらつき、越後交通栃尾線の廃線跡をたどって見附へ。老舗・谷信菓子店のアイスは、バニラと見せかけてココナッツミルク味。ひっきりなしに客がやってくる人気ぶりだ。そして日が暮れて、あやめの咲くしらさぎ森林公園へ——ほーほーほーたるこい。めっちゃ出た! 休日出勤明けの疲れも、光の点滅に吸いこまれていった。

移動 約52.3km / 獲得標高 259m

石川雲蝶

越後のミケランジェロと呼ばれる、幕末の彫刻・彫金の名工。江戸から越後へ移り住み、寺社の欄間や天井に、のみ一本で躍動する龍や人物を刻んだ。三条・石動神社の本殿にもその彫刻が残る。すぐ近くの本成寺にも手がけたものがあるそうだが、今回は完全に見逃してしまったのが心残り。

栃尾のあぶらげ

栃尾といえば「あぶらげ」。ふつうの油揚げの三倍ほどもある、ぶ厚くジャンボな名物で、表面はカリッと中はふっくら。ねぎや生姜、七味をのせて、しょうゆをたらりとかけて食べる。酒どころで豪雪地の栃尾に、保存のきく大豆加工品として根づいた一品だ。

2
DAY 2 · 06.25

見附から与板・三島を経て長岡めぐり

二日目の朝は、サンドパンと笹団子から。見附の水道山であじさいを眺め、観音山公園ではもっと咲きそろった花に出会う。惣菜の充実したパティオにいがたで諏訪牛乳のソフトをなめ、信濃川を渡って与板へ。船の町のなごりをたどって、名水の町・三島をめざした。

三島のそうめんは、今まで食べたなかで一番かもしれない。しっかりコシがあって、名水というだけある。生卵もよく合う。小さな町なのに酒蔵が三軒もあるのだから、水のよさは折り紙つきだ。寺宝温泉では天然の炭酸泉がボコボコと湧いて、肌にまとわりつく細かな泡がたまらない。

長岡といえば火焔土器。馬高縄文館にはおどろくほどたくさん出土していて、改めて見ると複雑な造形が面白い。やっぱり弥生より縄文だ。長岡花火ミュージアムでは、座席が振動する目玉花火の上映に思わず涙ぐんだ。長生橋を渡り、しめは背脂たっぷりの長岡ラーメン。うーまーいーぞー、と新幹線で帰路についた。

移動 約68.5km / 獲得標高 173m

火焔土器

縄文時代中期(約5千年前)の、燃えあがる炎のような装飾をもつ土器。長岡市の馬高遺跡で最初に見つかり、ここで出た一点が「火焔土器」の名の由来となった。鶏のとさかのような突起と、渦巻く粘土紐の装飾が全面を覆い、実用の煮炊き具でありながら強烈な造形感覚にあふれる。信濃川流域一帯から数多く出土し、縄文の美の象徴として知られる。

長岡花火

長岡まつり大花火大会は、日本三大花火のひとつ。戦災からの復興と、戦没者への慰霊・平和への祈りをこめて打ち上げられる。正三尺玉や、幅2kmにおよぶ「フェニックス」が有名。長岡花火ミュージアムでは、その目玉花火を座席の振動とともに体感できる上映があり、生で見たくなること必至だ。