三条から自転車で栃尾を越え見附へ ホタル観賞
旅のはじまりは、えきねっとと モバイルSuica の大障害というまさかの幕開け。窓口でもクレカが通らず、ポイントは泣く泣くあきらめて、チャージ済みの🍉でなんとか三条へ。果物でも食べて気を取り直そう、とフルーツをほおばる朝だった。
三条にこんなに立派なお寺があったとは——本成寺の堂々たる山門に見あげる。一ノ木戸のカネギは果物屋が本気で作るフルーツサンドの名店で、ジューシーな果実に甘いクリーム、あんこと求肥の一本まで、これで三百円とは。石動神社では、お目当ての石川雲蝶の彫刻にうなる。のみ一本で躍動する人物たちだ。そのあと川のように水の流れる隧道を抜けて、山を越えた。止まると靴が濡れるほど路面が川で、完全にびびった。
栃尾では駅前食堂で懐かしい味の昼ごはん。名物のあぶらげは、注文したあとに壁のお品書きで気づいた。雁木のつづく町並みをぶらつき、越後交通栃尾線の廃線跡をたどって見附へ。老舗・谷信菓子店のアイスは、バニラと見せかけてココナッツミルク味。ひっきりなしに客がやってくる人気ぶりだ。そして日が暮れて、あやめの咲くしらさぎ森林公園へ——ほーほーほーたるこい。めっちゃ出た! 休日出勤明けの疲れも、光の点滅に吸いこまれていった。
石川雲蝶
越後のミケランジェロと呼ばれる、幕末の彫刻・彫金の名工。江戸から越後へ移り住み、寺社の欄間や天井に、のみ一本で躍動する龍や人物を刻んだ。三条・石動神社の本殿にもその彫刻が残る。すぐ近くの本成寺にも手がけたものがあるそうだが、今回は完全に見逃してしまったのが心残り。
栃尾のあぶらげ
栃尾といえば「あぶらげ」。ふつうの油揚げの三倍ほどもある、ぶ厚くジャンボな名物で、表面はカリッと中はふっくら。ねぎや生姜、七味をのせて、しょうゆをたらりとかけて食べる。酒どころで豪雪地の栃尾に、保存のきく大豆加工品として根づいた一品だ。
見附から与板・三島を経て長岡めぐり
二日目の朝は、サンドパンと笹団子から。見附の水道山であじさいを眺め、観音山公園ではもっと咲きそろった花に出会う。惣菜の充実したパティオにいがたで諏訪牛乳のソフトをなめ、信濃川を渡って与板へ。船の町のなごりをたどって、名水の町・三島をめざした。
三島のそうめんは、今まで食べたなかで一番かもしれない。しっかりコシがあって、名水というだけある。生卵もよく合う。小さな町なのに酒蔵が三軒もあるのだから、水のよさは折り紙つきだ。寺宝温泉では天然の炭酸泉がボコボコと湧いて、肌にまとわりつく細かな泡がたまらない。
長岡といえば火焔土器。馬高縄文館にはおどろくほどたくさん出土していて、改めて見ると複雑な造形が面白い。やっぱり弥生より縄文だ。長岡花火ミュージアムでは、座席が振動する目玉花火の上映に思わず涙ぐんだ。長生橋を渡り、しめは背脂たっぷりの長岡ラーメン。うーまーいーぞー、と新幹線で帰路についた。
火焔土器
縄文時代中期(約5千年前)の、燃えあがる炎のような装飾をもつ土器。長岡市の馬高遺跡で最初に見つかり、ここで出た一点が「火焔土器」の名の由来となった。鶏のとさかのような突起と、渦巻く粘土紐の装飾が全面を覆い、実用の煮炊き具でありながら強烈な造形感覚にあふれる。信濃川流域一帯から数多く出土し、縄文の美の象徴として知られる。
長岡花火
長岡まつり大花火大会は、日本三大花火のひとつ。戦災からの復興と、戦没者への慰霊・平和への祈りをこめて打ち上げられる。正三尺玉や、幅2kmにおよぶ「フェニックス」が有名。長岡花火ミュージアムでは、その目玉花火を座席の振動とともに体感できる上映があり、生で見たくなること必至だ。