七沢温泉へ 厚木でラーメンと露天風呂
富山行きをあきらめた昼さがり、まずは厚木で腹ごしらえ。アツアツで具だくさんの餡がのった肉そばに、なんとなく頼んだ餃子がこれまた肉汁たっぷり。昼からラーメンと餃子でビールなんて、雨の日のちょっとした贅沢だ。
そのまま森の奥の七沢温泉へ。通された角部屋は畳の匂いがよくて、まずはひと息。湯はほんのりすべすべ、浴室の窓いっぱいに濃い緑がせまる。青空をゆっくり流れる雲を眺めながら、ぷふぅ。夜は地ビールと、神奈川の地酒・盛升の生原酒を、飲みきらないとと言い訳しつつ、しみじみ傾けた。
七沢温泉
丹沢のふもと、厚木の山あいに湧く静かな温泉地。都市部からそう遠くないのに、森の匂いと鳥のさえずりに包まれ、のんびりするにはもってこいの隠れ湯だ。泉質はアルカリ性で、肌がほんのりすべすべになる美肌の湯として知られる。熊が出ることもあるという深い森が、そのまま浴室の窓辺まで迫っている。
日向薬師・伊勢原から平塚よさこい祭り
鳥のさえずりで目をさますと、まだ朝の五時。カーテンのない角部屋は明るすぎて、何度寝したかわからない。朝風呂に浸かれば、顔が消えるくらい昔からいるというアヒルちゃんが、緑を映す湯にぷかり。七沢ブレンドのコーヒーで一服してから、森の宿をあとにした。
嵐のあとで道は川のよう。坂をのぼれば薬師林道の展望台、新緑の向こうに厚木の街がひらける。水をはった棚田に早苗がゆれる道を下り、日向薬師へ。茅葺きの大屋根が堂々として、本堂のなかは撮影禁止だけれど、薬師如来を十二神将がぐるりと囲む姿が面白い。坂を下れば伊勢原大神宮——江戸時代に伊勢の人が拓いたから伊勢原、お宮も伊勢神宮に倣って外宮と内宮がそろう。
やってる店が少ないので平塚へ出ると、街はちょうどよさこい祭りの熱気。ワカメとメンマがどっさりのった不思議なタンメンをすすり、須賀港の漁船をながめ、台風あとで濁った相模川べりをぶらり。浜辺ではハンググライダーが風待ち顔。駅前のとん漬け屋は日曜で休みだったので、おみやは厚木生まれの地ビール・サンクトガーレンを提げて、梅雨のあいまの小さな旅を閉じた。
日向薬師と伊勢原
日向薬師は奈良時代の開創と伝わる古刹で、日本三薬師のひとつにも数えられる。どっしりとした茅葺きの本堂は国の重要文化財で、堂内には薬師如来とそれを守る十二神将がまつられている。ふもとの伊勢原は、江戸時代の元和年間に伊勢からやってきた人々が原野を拓いた土地。地名もそこに由来し、伊勢原大神宮は伊勢神宮にならって、天照大御神の内宮と豊受姫大神の外宮の二社をそなえる。