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福島 桜めぐり ― 三春滝桜から夜ノ森へ
FUKUSHIMA SAKURA · 2023 はる

福島 桜めぐり ― 三春滝桜から夜ノ森へ

千年の名木から、よみがえる浜通りの桜並木まで。

2023.3.31 ▶ 4.2

Days3日間
Dist約347km
Area福島(郡山・三春・浜通り)
Top最高 561m

三月末の金曜、夜の新幹線で福島入り。目当てはただひとつ、ちょうど見頃を迎えた桜だ。まずは郡山で深夜のラーメンをすすって英気をやしない、翌朝から花を追いかける旅がはじまる。

一日目の主役は、樹齢千年とも言われる三春滝桜。大地から噴きあげるような巨木に圧倒されたあとは、折りたたみ自転車で阿武隈の山なみを越え、浜通りの富岡へ。夜ノ森では、満開の桜トンネルがライトアップに浮かびあがる――ここは原発事故で長く人の消えていた町。花はいま、戻ってきた人びとと観光客でにぎわっていた。

最終日は双葉・浪江へ。震災遺構とアート、伝承館をめぐり、常磐もののしらす丼となみえ焼きそばで腹を満たす。桜前線をたどりながら、よみがえりつつある土地の春を見てまわった三日間の記録。

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DAY 1 · 03.31

夜の福島入り、郡山で前泊

金曜の夜、新幹線に飛び乗って福島へ。明日からの花見にそなえて、まずは郡山のホテルに荷をおろす。

遅い時間についやってしまう、深夜のラーメン。生姜のきいた青島系のスープが、旅のはじまりの合図みたいでたまらない。この時間に食べる一杯は、ちょっとした反則だ。

移動 約1.1km / 獲得標高 8m

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DAY 2 · 04.01

三春滝桜と阿武隈越え、夜ノ森の桜

朝いちで三春へ。すでにすごい人出のなか、あらわれたのが三春滝桜――樹齢千年ともいわれる大きなベニシダレザクラだ。四方に枝を垂らし、ピンクの滝が地面へこぼれ落ちるよう。三春には名木が多く、合戦場のしだれ桜、滝桜と双璧をなす紅枝垂地蔵桜と、桜から桜へと渡りあるく。

小野町ではリカちゃんキャッスルに寄り道し、いちごと桜のおやつでひと息。ここからが本番、折りたたみ自転車で阿武隈の山越えだ。川下りのつもりが峠はどこまでも登りで、押して歩くほどの急坂(´・ω・`)。川内村のカフェで食べたカレーで、ようやく人心地ついた。

山の桜はまだこれからだったが、峠を越えた浜通りの夜ノ森は完璧な満開。桜まつり本番は翌週というのに、桜トンネルがみごとに咲きそろっていた。夜は串誠でいわきの地養卵の串をつまみ、常磐線で夜ノ森へとんぼ返り。ライトアップに浮かぶ夜桜は、昼とはまた別の顔をしていた。

移動 約85.7km / 獲得標高 445m

三春滝桜

日本三大桜のひとつに数えられる、樹齢千年とも言われるベニシダレザクラの巨木。高さ十数メートル、四方に伸びた枝からしだれる花が、滝のように流れ落ちて見えることから「滝桜」と呼ばれる。国の天然記念物。日当たりのよい場所に立つためか、まわりの桜よりひと足早く咲くという。地名の「三春」は、梅・桃・桜が一度に春を迎えることに由来するとも伝わる。

夜ノ森の桜と、戻ってきた春

富岡町・夜ノ森は、約2キロにわたって染井吉野が続く桜並木で知られる花の名所。2011年の原発事故で町は長く避難指示区域となり、桜並木も人の立ち入れない「帰還困難区域」を走っていた。少しずつ避難指示が解除され、2023年春には並木の一部を再び歩けるように。満開の桜トンネルを見あげる人びとの姿に、よみがえりつつある町の春が重なった。

3
DAY 3 · 04.02

浜通りの双葉・浪江をめぐり帰路へ

天気は下り坂、風も冷たい最終日。双葉駅に降りると、駅前の旧市街地は廃墟のまま。けれど壁にはアートが描かれ、見てまわる人の姿もちらほら。放置された業務用車がぜんぶパンクしていたのは、やはり生々しかった。

東日本大震災・原子力災害伝承館で、語り部のワークショップもある展示をじっくり見る。浪江町の請戸小学校は、津波に襲われながら児童・教職員全員が高台へ避難して助かった、震災遺構として残された校舎だ。岐阜の糸会社がひらいたタオル工場をのぞいて、ようやく腹ごしらえへ。

道の駅なみえで食べた常磐もののしらす丼は、今まででいちばんと言いたくなるうまさ。名物のなみえ焼きそばは、やきそばというよりやきうどんに近い太麺。請戸川の桜はもう散りはじめ、風に花びらが舞っていた。浪江から常磐線特急ひたちに乗って、花いっぱいの三日間に別れをつげた。

移動 約257.3km / 獲得標高 45m

請戸小学校と、浜通りの今

浪江町請戸にある請戸小学校は、海からわずか300メートルほど。2011年の津波で校舎は大きく壊れたが、児童・教職員は高台の大平山へ避難し、全員が無事だった。校舎は「震災遺構」として保存・公開されている。周辺の双葉・浪江は長く避難指示区域だったが、近年は駅前にアートが生まれ、伝承館や道の駅ができ、少しずつ人の営みが戻りつつある。