新幹線で仙台入り 仙台朝市・閖上と松焚祭
旅のはじまりは東京駅。新幹線でひとっ飛び、着いた仙台は「思ったより暖かいな」と拍子抜けするくらいの陽気だった。まずは仙台朝市をぶらり——規模はこぢんまり、まだ品出し中の店も多くて、これからという時間。朝ごはんのおにぎりを頬張って、長町のアクアイグニス仙台へ寄り道すると、でっかいラプラスがお出迎え。背中に乗りたくなる大きさだ。
昼は名取市の閖上(ゆりあげ)へ。震災復興伝承館には、流される前の大きな町のジオラマ。昭和の津波の碑も残るが、こういう伝承があってなお、慢心して逃げ遅れてしまう——日和山とメモリアル公園に立って、海のほうを静かにながめる。かわまちてらすで名物の生しらす丼をかきこめば、北限のしらすはいくら入りでなかなかの美味。広浦は工事中で海まで行けず、帰り道では線路沿いにセリ畑を次々と見つけて「セリ食いてぇよぉ」と悶えた。
そして夜、大崎八幡宮の松焚祭(どんと祭)へすっ飛んで行く。ものすごい人出のなか、白いサラシに鉢巻きの裸参りの列が、御神火の周りをぐるぐると回る。一般客はその外側で、切れ目を見計らって正月飾りを炎に投げ込む。甘酒で体をあたため、白モツにレバーまで入ったもつ煮としぼりたてをやる。締めは仙台名物のひとくち餃子と、こってりラーメン。炎と煙にまみれた、濃い冬の夜だった。
松焚祭(どんと祭)
小正月の前後、正月飾りや古いお札を焚き上げ、その御神火(ごしんか)で一年の無病息災を願う神事。宮城では各地の神社でともされるが、仙台・大崎八幡宮の松焚祭はとりわけ名高く、三百年ほど続くとされる。見どころは「裸参り」——白いサラシに鉢巻き、口に含み紙をくわえた参拝者が、鈴を鳴らしながら御神火を目指して練り歩く。もとは造り酒屋の杜氏が醸造の無事を祈ったのが始まりといわれ、いまは仙台の冬を告げる風物詩になっている。
仙山線で山寺・山形、米沢経由で福島円盤餃子
二日目は仙山線に乗って、雪を探しに山形へ。今年は雪が少なめで、山形盆地の平野部はほとんど雪なし。それでも山寺・立石寺でおりると、木造の駅舎も参道もうっすら雪化粧していた。冬は上のほうがやる気なさそう——無理に登らず、ふもとを少しだけ冷やかす。杉木立と古い堂宇のたたずまいは、それでもやっぱりすごい。
山形市内に出ると、ちょうど消防出初式。消防車が大渋滞で「いま火事が起きたらやばいやん」と笑う。大正の名建築・文翔館の前を、赤い消防車がずらりとパレードしていく。レトロな旧校舎(旧第一小学校、いまはQ1)を再生した文化施設もオシャンだ。お昼は山形といえばの一杯——元祖の店で名物の冷やしラーメン。氷の浮く冷たいスープに「冷やすな、煮込め、寒い!」とツッコみつつ、美味い。
村山方面をまわって六田(むた)の石鳥居を見物し、作並温泉で日帰り湯。フレッシュで温まる、いいお湯だった。米沢をへて、最後は福島市へ。福島名物の円盤餃子は、円く並べてパリッと焼き上げる名物。肉厚でしっとり系の一皿に、お正月の味・いかにんじんを添えて、冬の東北めぐりを締めくくった。あとは新幹線で、ただいま東京。
冷やしラーメン
山形市の栄屋本店が、暑い夏にも冷たい麺をと昭和二十年代に生み出したといわれる一杯。氷の浮いた、キンと冷たいしょうゆ味のスープに、冷たい麺。山形はラーメン消費量でもつねに全国上位の“ラーメン県”で、夏はこの冷やしラーメン、通年で「鳥中華」や「冷たい肉そば」など、独自の麺文化が根づく。真冬に食べれば「冷やすな、煮込め」とツッコミたくもなるが、それもまた一興。