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新幹線とフェリーで、冬の海を渡る
SAGA · NAGASAKI · NISHINOMIYA · 2023 ふゆ

新幹線とフェリーで、冬の海を渡る

佐賀の海中鳥居から、西宮のえびす様へ。

2023.1.7 ▶ 1.9

Days3日間
Dist約1183km
Area佐賀・長崎・兵庫
Top最高 260m

冬の三連休。飛行機で九州へ飛び、開業したての西九州新幹線「かもめ」に初乗車する——そんな乗り物づくしの旅に出た。

佐賀では塩田津や肥前浜宿の川港のまちをあるき、酒蔵で名酒「鍋島」を手に入れる。太良の海中鳥居は、ちょうど大潮の干潮。鳥居の下まで海が引いた干潟に、朱が三つならんでいた。その夜は早岐で、二〇二三年最初の満月と、ごうごう流れる瀬戸の潮を眺める。翌日は川棚の魚雷発射試験場跡と東彼杵の茶畑を歩き、新門司からフェリーで瀬戸内へ。明石海峡大橋をくぐって朝焼けの神戸に上陸し、西宮神社の十日えびすで福笹を授かった。乗り物と、酒と、祭りの三日間の記録。

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DAY 1 · 01.07

飛行機とフリーきっぷで佐賀へ、海中鳥居から西九州新幹線で早岐泊

旅のはじまりは福岡空港。久々のピーチで飛び立つと、機長は「晴れ」と言うのに窓の外はどう見ても曇り(# ゚Д゚)。博多駅では、機内で買った西九州新幹線のフリーきっぷの引き換えに大苦戦——窓口は長蛇の列で、発券に三十分近く。なんとか一本後の列車に滑りこんだ。

武雄温泉で白い「かもめ」から祐徳バスに乗り換え、まずは塩田津へ。内陸なのにちゃんと川港があるのが面白い、保存工事のすすむレトロな町並みをあるく。昼は筒井製麺のうどん——細めやわめ、肉はほろほろ、ささがきゴボウの食感もよくて、甘めの出汁がしみる。肥前浜宿では白壁の酒蔵がならぶ通りで、名酒「鍋島」と焼き芋焼酎「魔界への誘い」を手に入れた。電線に鵲(かささぎ)——佐賀らしい鳥だ。

太良の海中鳥居は、来るのは二度目。すっかり観光地化していたけれど、ちょうど大潮の干潮で、鳥居の下まで海中道路が顔を出していた。満ちた潮でまた見たいな、と思いつつ諫早へ。開業したての西九州新幹線に初乗車、「開通元年」おめでとうございます。今夜は早岐泊。宿の部屋で鍋島と赤鳥居ジンを傾けながら、二〇二三年最初の満月と、ごうごう音を立てて流れる瀬戸の潮に見とれた。

移動 約149.3km / 獲得標高 169m

西九州新幹線とフリーきっぷ

二〇二二年九月に武雄温泉〜長崎で開業したばかりの西九州新幹線。在来線特急から名を受け継いだ白い「かもめ」が走る。武雄温泉では、博多からの在来線特急「リレーかもめ」と同じホームで対面乗り換えできるのが特徴だ。この旅で使ったフリーきっぷは、新幹線に乗れるのは二回まで、フリーエリアも狭め——発券の行列もあわせて、なかなか手ごわい一枚だった。開業からまだ四か月、諫早駅には祝いの酒樽と「開通元年」の幟がならんでいた。

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DAY 2 · 01.08

川棚の魚雷発射試験場跡と東彼杵の茶畑、名門大洋フェリーで出航

早岐から川棚へ。まだ空気の冷たい朝、めざすは片島の魚雷発射試験場跡。大村湾に突き出す岬に、石とコンクリートの遺構がしずかに残っていた。入江にのびるアーチの桟橋、海の上にぽつんと立つ監視塔跡、屋根の抜けた建物にすっと伸びる一本の木——朝日に照らされた廃墟は、どこかもの寂しく、うつくしい。山上の望楼には放置された梯子がそのまま。ドローンの羽音だけが不粋だった。

バスに間に合わず、川棚まで歩く。道中、猫たちがなぜかこちらに心を許してくる。東彼杵は「お茶と鯨のまち」。長崎一とうわさのスーパーで鯨や手作り豆腐を物色し、豆腐串とがんもをほおばりながら坂をのぼると——茶畑キタ━━!! 大村湾を見おろす斜面に、青々とした茶の段々がひろがっていた。

彼杵から小倉・博多と大移動して、新門司港へ。阪九フェリーのターミナルは「すげーなこれ、奈良かよ」と唸るほど立派な和風建築。船が出るぞぉぉぉ! 大浴場と露天風呂で冷えた体をあたため、満月の海を眺める。大川水産のピーナツ豆腐と甘鯛のフライ、それにみかんの山——東彼杵の戦利品は、帰ってからのお楽しみ。

移動 約266.6km / 獲得標高 260m

片島・魚雷発射試験場跡

長崎・川棚町の片島に残る、旧海軍の魚雷発射試験場の遺構。大村湾の静かな入江に向かって魚雷を試射し、性能を確かめた施設で、石づくりの建物跡、海へのびるアーチの桟橋、沖に立つ監視塔などが今も残る。戦争遺跡として知られ、海に向かって口を開けた構造物は、おだやかな朝の海と相まって、ふしぎと静かな迫力がある。すぐそばの片島公園から歩いてまわれる。

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DAY 3 · 01.09

明石海峡大橋をくぐり六甲アイランドへ、西宮十日えびす

まだ暗いうちにデッキへ出ると、明石海峡大橋がぬっと現れた。真っ暗なシルエットの下をくぐり抜け、朝焼けのなか神戸・六甲アイランドへ入港。送迎バスがすし詰めのまま動かないので、歩いて六甲ライナーの駅をめざす。UFOみたいな神戸ファッション美術館、人工島の整然とした町並みに、どこか哀愁がただよう。

阪神電車で西宮へ。西宮神社は十日えびすのまっただ中で、境内も参道も屋台と人でぎゅうぎゅう。石鳥居の赤大門をくぐり、奉納の大まぐろと松葉がにの幟を横目に拝殿へ。福笹を授かり、おかめ茶屋の甘酒とゆで卵で一息——酒処の甘酒はやっぱり美味い。屋台の東京ケーキも甘くてうま~。

白鷹、白鹿、日本盛——灘・西宮の酒蔵がならぶ通りをあるき、しぼりたてや生酒を買いこむ。白鹿記念酒造博物館では昔の酒づくりをあらわす人形展示を眺め、名水「宮水」の井戸ものぞいた。製造技術が進歩してもやっぱり水なんだな。荷物はもうパンパン。締めはもっこすのラーメンと、浜田温泉でひとっ風呂。帰りの新幹線で柿千の寿司を肴に、おつかれさま、よい旅でした。

移動 約458.6km / 獲得標高 125m

西宮神社の十日えびす

全国のえびす神社の総本社・西宮神社で、毎年一月九〜十一日に行われる「十日えびす」。商売繁盛を願う参拝客でにぎわい、福笹や熊手、みがわりひょうたんなどの縁起物を授かる。拝殿まわりには全国から奉納された大まぐろや松葉がにが据えられ、賽銭を貼りつけて福を願う名物に。十日の早朝には、開門と同時に本殿へ走り参拝一番乗りを競う「福男選び」でも知られる。

灘・西宮の酒と宮水

西宮から神戸・灘にかけては、日本有数の酒どころ。白鷹・白鹿・日本盛など名だたる蔵がならぶ。この一帯の酒づくりを支えるのが、西宮で湧く名水「宮水(みやみず)」。酒造りに適した成分をもち、しぼりたてや生酒の味をきりりと引き立てる。白鹿記念酒造博物館には酒蔵を活かした展示があり、昔ながらの酒づくりの道具や人形が、水の酒どころの歴史を伝えている。