檜原都民の森・三頭大滝と蛇の湯温泉
バスを乗り継いで山をぐんぐん登り、たどり着いたのは檜原都民の森。標高はおよそ千メートル、ここはもう東京の天井にちかい。あいにくの雨だけれど、道はしっかり整っているというから、まずは滝を見にいくことにした。森林館の展示はちょっと期待はずれ…と思いつつ、ウッドチップを敷いた遊歩道がとにかく歩きやすい。雨のなかでも登山客はちらほらいる。
滝見橋をわたって谷をのぞき、三頭大滝の白い流れを眺める。昼はレストランとちの実で山の天ぷら定食。左端の白くてサクサクしたのが妙にうまい。小鉢はひのじゃがといもがら、お通しのこんにゃくまで、山の味がうれしい。食べ終える頃にはもう体はぽかぽかだ。
バスの本数が少ないので、数馬の集落まで雨の山道を歩いて下る。けむる谷を見下ろしながら、道ばたの足の神様に、健脚になりますようにと手をあわせた。夢の滝がそっと流れ落ち、集落に降りれば茅葺きの兜家旅館。廃校になった数馬分校では、この地の林業の歴史や木馬の話を、残そうと奮闘するおじいさんが聞かせてくれた。老朽化でいつまで残せるか、とぽつり。
締めは秘湯・蛇の湯温泉たから荘。苔むす茅葺きの湯宿でちゃぷんとひと風呂、雨に冷えた体がほどけていく。帰り道は本宿に寄り道。黄金のイチョウと谷を染める紅葉に見とれ、郵便局ではゆるキャラのポストに笑い、キノコ鍋の材料はあきらめて、豆腐屋ちとせ屋の厚揚げを買って帰った。今夜は厚揚げ鍋だ。
檜原都民の森と三頭大滝
東京都で島をのぞくと、ただひとつの「村」が檜原村。その奥、標高約1000mに広がるのが都民の森で、三頭山(みとうさん)のふところに遊歩道がのびる。目玉の三頭大滝は落差およそ35m、谷にかかる滝見橋から正面に望める。かつてこのあたりは林業で栄え、伐り出した木を「木馬(きんま)」という木のそりで山から下ろしていた。数馬や本宿の集落には、その時代をしのばせる茅葺き屋根がいまも残り、秘湯・蛇の湯温泉とともに山里の時間を伝えている。