八街の落花生の里と野馬捕込跡、佐倉の酒蔵
まだ日の昇りきらない早朝、朝霧の畑を抜けて八街をめざす。空が白みはじめるころ、さっそく今日の目標を発見——落花生を積みあげた「ぼっち」だ。朝いちばんに寄った千葉厄除け不動尊は、迎春の飾りや正月バスの案内まで出した商魂たくましい構え。門はまだ開いておらず、お参りは肩すかし。境内には、ここが上総と下総の国境だと刻んだ石碑が立っていた。
さすが落花生の里、道ばたの売り場にも、コンビニのパンにまで🥜。この一帯はかつて幕府の放牧地「小間子牧(おまごまき)」で、畑のあいだには野馬を囲った土手がいまも残る。銀杏の色づく小間子馬神社は、その名のとおり馬の神社——大銀杏の黄色は(゚д゚)ウマーと声が出るほど。石の神馬に見送られて歩けば、畑には昔ながらの稲藁ぼっちもずらり。ぼっちはいくつ集まってもぼっちのまま、なんてしんみりしてみたり。
土塁で馬を追い込んだという小間子牧の捕込跡を歩き、ひんやり「やちぼこりソフト」でチャージ。八街市街のピーナッツ屋さんは試食もお茶も大盤振る舞いで、Qナッツを買いこんだ。昼は酸味の効いたソース焼きそば、締めは佐倉の酒蔵・旭鶴で日本酒を二本。落花生づくしの重たい土産を抱えて、晩秋の一日を閉じた。
八街とぼっち
八街(やちまた)は千葉県の内陸にある、全国有数の落花生の産地。水はけのよい火山灰土(関東ローム層)が落花生づくりに向く。秋に畑のあちこちで見かける円錐形の「ぼっち」は、掘りあげた落花生の株を乾燥させるために積んだもので、じっくり天日で干すことで甘みとコクが増すという。刈った稲藁を同じように積んだ「稲藁ぼっち」も並び、手間ひまかけた昔ながらの風景をつくっている。
野馬と小間子牧
八街のあたりは、江戸時代には幕府の放牧地「小間子牧(おまごまき)」だった。佐倉七牧のひとつに数えられ、半ば野生化した馬(野馬)が広い原野に放たれていたという。年に一度、野馬を土塁で囲った「捕込(とっこめ)」に追い込んで捕らえ、良い馬を選び出した。畑のあいだに残る野馬土手や、小間子馬神社の名に、その牧の記憶がいまも息づいている。