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精霊馬をたずねて
OBON · SHORYOUMA · 2022 なつ

精霊馬をたずねて

きゅうりの馬と、なすの牛。神奈川のお盆をあるく一日。

2022.8.14

Days1日間
Dist約59km
Area神奈川 二宮・秦野・宮ヶ瀬
Top最高 352m

お盆になると、きゅうりで馬を、なすで牛をこしらえて供える——足の速い馬で御先祖さまに早く帰ってきてもらい、のっそり歩く牛でゆっくり戻ってもらう。精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれるこの風習をたずねて、神奈川の町をぐるりと一日まわった。

二宮の川勾神社から中井の湿生公園、湧水のわく秦野へ。秦野の辻では、砂を盛り青竹で櫓を組んだ、驚くほど手のこんだ盆飾りに出会う。おなじ県内でも、二宮や中井ではひとつも見かけなかったのに。午後は厚木からバスにゆられて宮ヶ瀬へ抜け、ダム湖に遊覧船を浮かべて、まんぷくで夏の一日を閉じた。

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DAY 1 · 08.14

二宮・中井・秦野の精霊馬めぐりと宮ヶ瀬湖

朝いちばんは二宮の川勾神社(かわわじんじゃ)へ。相模国の二之宮にあたる古社で、茅葺きの門をくぐり、木もれ日のさす境内に手をあわせる。中井へ下って、厳島神社とその名を冠した厳島湿生公園。水辺に木道がまっすぐわたり、その先に赤い鳥居が立つ涼やかな場所だ。ここまでは、お盆らしい盆飾りはまだ見あたらない。

電車で秦野へ。駅前の店は潰れていて少しさびしいけれど、まずは秦野盆地湧水群の湧き水をゴクゴク。そして——ここからが本番だった。町のあちこちの辻に、精霊馬や盆飾りがずらりと並ぶ。砂を盛り、小さな階段と青竹の櫓を組み、蓮の葉にごはん・そうめん・おはぎまでを供えた「辻飾り」は、古い家ほど生の青竹で豪華に仕立ててある。砂も造花も辻の木箱も、ぜんぶイオンで買えるらしい。鳥につつかれないよう、お供えをラップでくるんだものまであった。二宮や中井ではひとつも見なかったのに、秦野ではかなりの割合で出会えるのが面白い。

飲食店の少ない秦野、お昼は箱根そばの冷やしキーマでさらりと——なすときゅうりがのっているのは、奇しくも精霊馬とおなじ取り合わせ。厚木に出て神奈中バスにゆられ、宮ヶ瀬へ。湖畔の園地から長い吊り橋をわたり、遊覧船に乗って、水をたたえた宮ヶ瀬ダムを見おろす。愛川のバス停から夕方の帰路へ。精霊馬をたずねる、しずかでまんぷくなお盆の一日だった。

移動 約59.4km / 獲得標高 451m

精霊馬(しょうりょううま)

お盆に、きゅうりで馬を、なすで牛をかたどって供える風習。割り箸や爪楊枝を足にして立たせる。足の速い馬は御先祖さまに一刻も早く帰ってきてもらうため、のろい牛はお供えを積んでゆっくり帰ってもらうため——という願いがこめられている。地域によって作法はさまざまで、秦野のあたりでは辻(道の交わるところ)に砂を盛り、階段や青竹の櫓を組んで、ごはん・そうめん・果物・おはぎまでを並べる手のこんだ「辻飾り」が見られる。お供えが少し欠けているのは、鳥がついばんだのか、それとも御先祖さまが召しあがったのか。