山形新幹線で高畠へ 安久津八幡神社と上山温泉泊
早朝の山形新幹線で高畠へ。ホームにおりた瞬間、こっちは気温が全然ちがう、涼しい。駅ナカの太陽館でご当地のたいようパンをほおばり、そこからは廃線跡をてくてく、旧高畠の市街をめざす。山形にいると思ったら、どこか名古屋めいた通りに出たりして——気ままな寄り道が旅のはじまりにちょうどいい。
ノーマークだった安久津八幡神社が、思いのほか面白い。石の鳥居も、イカした旧高畠駅舎も、たどってみれば同じ石——瓜割石庭公園の凝灰岩でできていた。人けの少ない石切場跡のひんやりした岩肌にオヒョーと声がもれる。二井宿の越後屋で、うどの苦みがたまらない天ぷらと板そばをすすり、上山へ。
上山は宿場町で、城下町で、温泉町。無人で無料の古民家をのぞける楢下宿を抜け、ひときわ目立つスカイタワー41を見上げながら湯の町へイン。実家感あふれる宿に荷をほどき、夜は山形の買い出しで一杯。さくらんぼにだし、山形セルリー——贅沢なオトナ旅人の夜がふけていく。
高畠石と瓜割の石切場
高畠のまちは、やわらかな凝灰岩「高畠石(たかはたいし)」の産地。明治から昭和にかけて切り出され、イカした洋風の旧高畠駅舎や、まちに点在する石蔵・石鳥居につかわれた。瓜割石庭公園は、その採石場のあと。垂直に切り立った岩肌が回廊のようにそびえ、人もあまり来ず、ひんやりと静まりかえっている。旅人いわく、鋸山の石切場にも負けないいい景色——石を通して高畠のあちこちがつながっているのが、歩くとよくわかる。
蔵王御釜と刈田岳、山形市街を巡り帰宅
旅人の朝は風呂から。上山らしく熱めのお湯でさっぱりして、いもの入った朝ごはんをかきこむ。バスの時間まで町をぶらつけば、妖しい雰囲気の栗川稲荷神社や、かみのやま温泉発祥の地にゆきあたる。青空が広がってきた——山のてっぺんは雲をかぶってそうだけど、えいやと無料バスに乗りこむ。
ぐんぐん登って、雲の上へ。六月でも道ばたには残雪が残り、空気が薄い(;´Д`)。そして視界がひらけた先に、キワヨ━━!! エメラルドグリーンの火口湖「御釜」。酸性の水をたたえた丸い湖が、火山の懐にぽっかりと口をあけている。熊野岳の山頂を踏み、蔵王山神社に手をあわせ、空には淡い日暈。去り際になると晴れてくるのが山のつねで、刈田岳からの眺めも惜しみつつ、山形へ下りた。
下界の昼は、山形名物の冷やしラーメン。スープがキンと冷たくて、これからの季節は最高だ。長谷堂城跡にのぼれば、山形のまちが大都会のように見晴らせる。レトロな済生館を横目に、夜は根曲竹を味噌とマヨでムキムキ、山形牛メンチにワラビ。山形新幹線の終電にすべりこんで、濃い二日間を締めた。
蔵王の御釜
蔵王連峰の熊野岳・刈田岳・五色岳にかこまれた、まるい火口湖。直径はおよそ330m、強い酸性の水には魚もすまない。太陽の角度や天気によってエメラルドから青へと水面の色を変えることから「五色沼」とも呼ばれる。火口壁の内側は切り立ち、周囲はしばしば雲とガスに覆われて、晴れて姿を見せてくれるかは運しだい。この旅では、登るほどに空が晴れて、まさに御釜が待っていてくれた。