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西伊豆・南伊豆 冬ぬる湯とバスの旅
NISHI-IZU · MINAMI-IZU · 2022 まふゆ

西伊豆・南伊豆 冬ぬる湯とバスの旅

活イカとなまこ壁、棚田とサル。東海バス全線フリーで海沿いを行く。

2022.1.15 ▶ 1.16

Days2日間
Dist約191km
Area静岡・伊豆
Top最高 378m

一月なかばの伊豆は、海がいちばん青くなる季節。相模湾から伊東へ出て、東海バスの全線二日フリーパスを握りしめ、西伊豆の海沿いをひたすら南へ下っていく。鉄道は通らず、オレンジ色のバスだけが集落と集落をつなぐ道だ。

堂ヶ島のトンボロと天窓洞、崖っぷちの沢田公園露天風呂、活イカにコリコリ悶絶する昼、なまこ壁の松崎、石を切り出したダンジョンのような室岩洞。夜は石部のぬる湯にちゃぷんと浸かり、翌日は石部棚田の石垣に見惚れ、人馴れしたサルと歩き、戦後開拓の村を越えて下田へ。日が暮れてから三島でえび飯と地酒。真冬の海と、つれないバスと、まんぷくの二日間。

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DAY 1 · 01.15

相模湾から西伊豆へ 堂ヶ島・松崎と石部温泉泊

相模湾の朝からバスを乗り継いで伊東へ。ここから東海バスのデジタル全線フリー二日間が、この旅の相棒になる。土肥の海沿いにはもう桜ののぼりが立っていたけれど、花はまだ先。車窓の向こうには、雪をかぶった富士山が駿河湾ごしにどんと居すわっていた。

堂ヶ島に着いて、海にぽっかり口をあけた天窓洞と、入り組んだ岩と島をのぞく。日が差さなくてちょっと不完全燃焼だけど、冬の海の青はじゅうぶんきれい。崖の上の沢田公園露天風呂をひやかし、腹が減ったので早めのお昼は沖あがり食堂へ。活イカは醤油をかけると身がよじれるほどコリコリで、思わず悶絶した。

午後はなまこ壁の松崎へ。白と黒の格子模様の壁がこれでもかと続き、揚げたての川のりコロッケをかじりながら古い商家をめぐる。石を切り出したダンジョンのような室岩洞を抜け、バスにまんまとスルーされて海沿いを歩くはめに。おかげで富士山のいい景色に出会えた。日が暮れて石部温泉へ。ぬるい露天風呂にあきれつつ、なめろうと塩辛で地酒が止まらない夜になった。

移動 約82.1km / 獲得標高 542m

なまこ壁って?

壁一面に平瓦を貼り、継ぎ目の漆喰をかまぼこ状にこんもり盛り上げた、伊豆・松崎の名物建築。白い漆喰と黒い瓦がつくる格子模様が、海のなまこの背に似ているのが名の由来という。火や潮風、雨から建物を守る実用の工夫で、明治の商家や蔵がいまも町のあちこちに残る。松崎のものは壁のてっぺん近くまでびっしり貼られているのが見事で、職人技がうかがえる。

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DAY 2 · 01.16

石部棚田と南伊豆を歩き下田経由で帰宅

早朝、津波注意報のサイレンで強制起床。深夜のトンガ噴火の余波だ。それでも海から離れた高台の宿は無事で、清水屋のサンドパンをかじって出発する。昨日から気になっていた石部棚田は、斜面を支える石垣だけでなく、田のあいだを縫う石畳の道まであって圧巻だった。いろんな季節に来てみたい、と心から思う。

一日一往復しかないバス停を横目に、南伊豆へ。人馴れしたサルたちがエサ待ちで寄ってきて、カメラを向けると猫のように顔をそらす。アロエの花が咲く伊浜の海沿いはおだやかで、津波が来るとは思えないほど。戦後に拓かれた天神原の村を越えると、新車のオレンジのバスがちゃんと停まってくれた。

下賀茂の道の駅で田舎寿司にありつき、バスから見えて気になった三島神社の大クスノキに手をあわせる。下田では乗ってみたかったサフィール踊り子を見送り、フリーパスの元を取るべく河津・修善寺経由で三島へ。日が暮れてからのえび飯と地酒で、真冬の伊豆の二日間を締めくくった。

移動 約108.9km / 獲得標高 173m

石部の棚田

西伊豆・松崎の山あいに広がる、小さな田が斜面に幾重にも重なる棚田。急な斜面を石積みで支え、田のあいだを石畳の道が縫う独特の景観で、「日本の棚田百選」にも選ばれている。いちど荒れかけたが、地元やボランティアの手で復活し、オーナー制度や夏の夜のライトアップで守られてきた。海を見おろす段々は、季節ごとに表情を変える。