富津岬を巡り東京湾フェリーで久里浜へ
着くのは十一時すぎ、千葉は遠い。青堀の駅に降り立つと、このあたりは見わたすかぎりの古墳だらけ。内房線でさえ古墳を潰して突っ切るほどで、歩けば次々と小山が現れる。朝ごはんを抜いてきたので、まずは腹ごしらえ——お目当ての『いいだこのしゃぶしゃぶ』は入荷なしで残念だったけれど、やわらかいあなご丼にありついて気を取り直す。
富津公園から松林を抜けると、東京湾にまっすぐ突き出した砂嘴の先端に出る。ピラミッドを積み重ねたような明治百年記念展望塔にのぼれば、対岸に三浦半島、沖には人工島の海堡、晴れていれば房総の海がぐるり。先端から第一海堡へは大潮なら歩いて渡れるというが、潮が速くて死亡事故もあり、いまは立入禁止。松林でのんびりくつろぐ猫たちや、砲台の跡に見送られて、岬をあとにする。
佐貫町で乗りかえ、醤油蔵の面影がのこる町をかすめて海沿いへ。上総湊、浜金谷と南下するうちに日が沈み、金谷港から東京湾フェリーに乗りこむ。遠ざかる富士山のシルエットを眺めながら、湾を越えて久里浜へ。しめは港町の居酒屋で、水揚げされたばかりのアジと太刀魚、もつ煮込みに熱燗。さらに神奈川名物のニュータンタンメンまで平らげて、横須賀線でのんびり帰った。
富津岬と明治百年記念展望塔
東京湾にむかって約5km突き出した、州(す)の連なる砂嘴(さし)。江戸・東京を守る海の要衝で、沖には人工島の海堡(かいほう)が築かれ、先端の第一海堡までは浅瀬が続く。岬の突端に立つ明治百年記念展望塔は、明治百年(1968年)を記念して造られた五層の展望台で、五葉松をかたどったといわれる独特の姿。晴れた日には東京湾ごしに富士山やスカイツリー、三浦半島まで見晴らせる、内房きっての眺望スポットだ。先端から第一海堡へ歩いて渡ろうとして命を落とす人もあり、いまは立入禁止になっている。