東京駅から富山・高岡へ
旅のはじまりは、金曜の夜の東京駅。どうせ食べるなら行き先より手前のものを、と選んだのは深川めしの駅弁。アサリは肉厚で味がよくしみて、うーまーいーぞー。缶ビールを開けて、北陸へ向かう車窓に身をあずける。
約270km を走って、着いたのは深夜の高岡。駅前のホテルに荷をほどき、「500マイルきたで」とつぶやいて、明日の早起きにそなえて眠りについた。
城端から五箇山・白川郷、郡上八幡へ
旅人の朝は早い。雲ひとつない高岡の夜明けを見送って、始発の城端線にゆられる。あさごはんは、関東では見かけないおぼろ昆布のおにぎり。終点の城端は思ったより高低差と風情のある町で、バスの時間まで古い町並みをぶらついた。
ここからは路線バスで、五箇山の谷へ。相倉の合掌集落に手を合わせ、下梨の町を抜ければ、山はもう燃えるように色づいている。上平では岩瀬家の堂々たる五階建ての合掌造りに🙏キタ━━!! 道の駅にもバス停にも赤かぶがならんでいて、どこまでも赤かぶの里だ。
飛越国境の峠を越えて白川郷へ。荻町の高台にのぼれば、茅葺き屋根がびっしりと谷に広がっていた。合掌造りがいっぱい、いっぱい! 名古屋行きのバスで郡上八幡へ下り、今夜の宿は白鳥の料理旅館・浅野屋。鮎に朴葉味噌焼き、これで二食付き八千円台とは、美味すぎる。
合掌造りと五箇山・白川郷
急勾配の茅葺き屋根を、手のひらを合わせたように組むことから「合掌造り」と呼ばれる。豪雪を滑り落とし、広い屋根裏で養蚕を営むための、雪国の知恵の結晶だ。富山・五箇山(相倉・菅沼)と岐阜・白川郷(荻町)の集落は、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録された。茅葺きは数十年に一度、集落総出の「結(ゆい)」で葺き替えられ、いまも人が暮らす生きた景観として守られている。
白鳥からひるがの高原と郡上八幡めぐり
橋を渡って朝ごはんへ。品数も多く、生卵まであって、お櫃がすぐ空になりそう。うっすら青空ののぞく町を、まずは白鳥神社へ。昨夜いただいた地酒の蔵元をのぞき、黒猫のラッピング列車・長良川鉄道にゆられて、神仏習合の面影が濃い長瀧白山神社へ石段をのぼる。
道の駅で見つけたのは、まさかの蜂の子ごはん。🐝もまさかご飯に入れられるとは思わなかったろうな。越美南線の終着・北濃駅から、さらにバスで戦後開拓のひるがの高原へ。名物の高原牛乳でひと息ついて、中央分水嶺キタ━━!! ここに落ちた雨は、日本海と太平洋に分かれて旅立っていく。紅葉に包まれた夫婦滝まで、晴れ間の山道を下った。
ふたたびの郡上八幡は、水の音がそこかしこに響く町。名水百選第一号の宗祇水、軒先のバケツ、石畳の小径……そしてこの日はハロウィン。やなか水のこみちに灯りがゆれる中を歩き、蜂の子ごはんと味噌漬けチーズをお土産に、夜の東京へ帰った。
郡上八幡と水のまち
長良川の支流・吉田川が流れる郡上八幡は、山に抱かれた城下町。町なかには用水路が網の目のように走り、随所に洗い場が設けられ、いまも生活用水として使われている。名水百選の第一号に選ばれた宗祇水(白雲水)は、連歌師・飯尾宗祇ゆかりの湧き水。夏の「郡上おどり」は三十夜以上つづく日本有数の盆踊りで、お盆には明け方まで踊りあかす徹夜おどりで知られる。